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非化石証書とは?~他手段との比較・費用面のメリットも~

作成者: 株式会社バイウィル|2023.12.18

2020年のカーボンニュートラル宣言以降、日本においても2050年カーボンニュートラルの達成に向け様々な施策が施されています。その施策のひとつとして、再生可能エネルギーの普及加速を目的に2021年11月から需要家による直接購入制度と最低価格の見直しが行われ、注目を集めているのが非化石証書です。
 
今回は、企業が非化石証書を有効活用する上でおさえておきたい非化石証書の概要やメリット、購入方法などについて解説していきます。
 
◾️目次
1.非化石証書とは
2.非化石証書の種類
3.非化石証書のメリットと留意点
4.非化石証書の購入方法 

1. 非化石証書とは

日本国内の電力を担っている発電方法のうち、発電時に化石燃料を使用するものを「化石電源」、発電時に化石燃料を使用せず大気中の二酸化炭素を増加させないものを「非化石電源」と呼びます。

「非化石電源からつくられた電気」には二酸化炭素を排出しないという環境価値があり、環境価値をエネルギーから切り離して取引・購入できるのが「非化石証書」です。

 

 

非化石証書を購入することで、非化石燃料で発電したクリーンなエネルギーを利用しているとみなすことができ、CO2削減に貢献しているという価値を得ることができます。

以前は、小売電気事業者のみが購入できる環境証書でしたが、2021年11月からは、電力需要家や仲介事業者でも非化石証書を直接購入することができるようになりました。また、供給が拡大したことで取引量が大幅に拡大し、最低価格も1.3円/kWhから0.4円/kWhに大幅に引き下げられています。

これは、多額の設備投資など、企業が再エネ化を進める上でのハードルを下げ、より多くの事業者が1歩踏み出すことができる手段を増やした試みとも言えるでしょう。

2. 非化石証書の種類

非化石証書には3種類あり、「FIT非化石証書(再エネ指定あり)」「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」「非FIT非化石証書(再エネ指定なし)」の3種類に分かれています。

 

 

<トラッキング付き非化石証書について>
証書を購入する上で、電力が「いつ・どこで・誰によって・どれだけ発電されたか(発電設備区分、設備の所在地、発電設備名、設備名、発電出力、認定日、運営開始日、割当量)」など電力の属性情報を把握することをトラッキングといいます。

FIT非化石証書は全量トラッキング付きとなりますが、非FIT非化石証書(再エネ指定なし)ではトラッキングが不可となっており、RE100などトラッキングを付けることが必要条件となっている先への報告では活用できないため注意が必要です。

3. 非化石証書のメリットと留意点

「非FIT化石証書(再エネ指定なし)」に関しては、再エネ価値が認められないなどの留意点があり、RE100など国際イニシアチブで使用できないケースがあるため、ここでは「FIT非化石証書」「非FIT非化石証書(再エネ指定あり)」のメリットについて3つのポイントを紹介していきます。
 
①実質再エネ利用にすることができる
「非化石証書」は電力ユーザーが1kWhで購入量を決めて証書を購入することができます。小売電力事業者から再エネ供給メニューを購入するだけでは削減し切れないCO2排出量分に対して、非化石証書を購入することで実質再エネ利用をしているとみなすことが可能です。
また、自社ビルを保有しておらず自社の希望で再生可能エネルギーへの電力切り替えが難しい場合も、非化石証書を購入することで、既存の電力契約を変更することなく環境価値を手に入れることが可能です。
 
②脱炭素関連の国際イニシアチブ、温暖化対策推進法への報告が可能となる
企業の脱炭素に関する取り組みに対して評価を行い対外的な公表をすることで、機関投資家や消費者からの評価に繋げ、結果として脱炭素への取り組みを加速させようとする国際イニシアチブ(CDP、RE100、TCFDなど)への対応に活用が可能です。
ただし、RE100にはトラッキング付きであることが必須であったり、CDPへの回答ではトラッキングは必要なく再エネ由来であれば可能など、それぞれのイニシアチブで条件が異なります。
また温対法により、二酸化炭素などの温室効果ガスを一定量排出する企業には、温室効果ガスの排出量を算定し、国に報告することが求められていますが、非化石証書を購入することで報告する温室効果ガス排出量の削減が可能となります。
 
③機関投資家や消費者へのPRが可能となる
上記に記載の国際イニシアチブへの対応と並行して、非化石証書を活用しCO2排出量を削減することで自社のESGデータに対する改善を行うことにより機関投資家からの評価にも繋がります。
 
一方で、「非化石証書には使用期限がある」ということを認識しておかなければなりません。
非化石証書は日本卸電力取引所(JEPX)で8月、11月、2月、5月に行われる入札で購入することができます。どの時期に購入した証書でも使用期限は6月となっているため、購入時期に注意が必要です。

 
<非化石証書は効率的に脱炭素の取り組み加速が可能>

現在、脱炭素に向けた再エネ調達方法やカーボンオフセットの手段としてより直接的な方法(自社敷地内での自家発電や、自社敷地外で発電事業者と直接契約して電力を購入するコーポレートPPAなど)が優先度高く期待されていますが、それだけでは限界があるのと膨大な時間やコストがかかっていまい、対応ハードルが高くなっているのも実情です。

間接的な方法として、小売電気事業者から再エネ供給メニューを購入したり、より割安な手段として電力供給とは別に証書を購入することで、脱炭素に向けた取り組みを積極的に加速させることが可能となります。

 

4. 非化石証書の購入方法

非化石証書の3つの購入方法について、費用や工数におけるポイントをふまえながらご紹介します。

 

 

 

①小売電気事業者より「電気供給と非化石証書」のセットメニューを購入する
電気の契約と非化石証書による環境価値がセットになっているため、環境価値での購入量を計算する必要がありません。メニューが限られるため、電気料金の削減が難しいことや、手数料もかかることから直接購入するよりも価格が高くなる傾向があります。

②電力ユーザー自身で「再エネ価値取引市場」で直接購入する
2021年11月より電力ユーザーが非化石証書を再エネ価値取引市場にて直接購入できるようになりました。非化石証書調達に伴う手数料がかからないというメリットがあります。ただしJEPXの会員になる必要があるため、入会費・年会費や、証書購入の際には入札の諸手続きも発生します。

③仲介事業者から環境価値だけを購入する
仲介事業者によって非化石証書を代理購入してもらうことが可能です。仲介事業者への手数料は必要になるものの、手続きの手間が省けたり、少量から段階的に実質再エネに切り替えることが可能となり活用しやすい方法となります。
 
非化石証書は、比較的手軽かつ安価に導入することができるのが魅力です。自社に必要なCO2削減量や予算に合わせて段階的に購入検討することで、着実な脱炭素対応が可能になるため、まずは自社の状況に合った購入方法を検討してみることをおすすめします。

バイウィルでは、貴社の脱炭素や再エネ化の推進、カーボンニュートラルに向けたクレジット・証書活用の無料相談を受け付けております。

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