こんにちは。
コンサルタントの石原でございます。
いよいよ関東も梅雨入りを迎え、傘が手放せなくなる季節になりました。
私も常時、折りたたみ傘をカバンにいれて突然の雨に備えております。
何事も準備は大切ですね。
さて、今回はインナーブランディングを効率的に行うために必要な「ターゲット設定」についてお話させて頂きます。
ブランディングやマーケティングを行っているほぼ全ての企業において、自社の商品を購入して頂きたい顧客像、いわゆる「ターゲット」が定められていることかと存じます。セグメントツールを用いる、ペルソナ分析を行う・・・など様々な手法がありますが、不特定多数の一般消費者の中から特定の層を切り取り、その層にフォーカスして各種マーケティング施策を展開していくことが通常のケースです。恐らく、このコラムを読んで頂いている皆様の企業でも自社の「ターゲット」は存在しているのではないでしょうか。
一方で、皆様の企業のブランディング活動において、”社内ターゲット”は設定されておりますでしょうか?
確かに、ブランディングは”お客様の頭の中で想起して頂く”企業に対してのイメージ・価値ですから、お客様に対して行うアウターブランディング(外向け)が中心になります。しかし、そのイメージ・価値を創りだすのはその企業の社員の方々であり、社員の方々のブランドへの理解がなければブランディングは上手くいきません。そこで大切になってくるのが「インナーブランディング」と呼ばれる、社内にブランドの考え方を浸透させたり、ブランドを体現しやすくなるような仕組みを構築する活動です。
やや難しくなってしまいましたが、乱暴に言ってしまうと・・・
アウターブランディング=ブランドの価値を社外に広める活動
インナーブランディング=ブランドの価値を社内に広める活動
ということで、ブランドの価値を特定の集団に広めるという意味では共通しているのです。
そうした時に、規模の大きな集団に対して一様に広めるのでは精度・効率が良くありませんから、「ターゲット」や「セグメント」という考え方が用いられるのです。
こう考えると、インナーブランディングにおいても「ターゲット」が必要だということが少しご理解頂けるのではないでしょうか。
ただ、ここまでの説明では「いやいや!社内で”ターゲット”を定めるなんて!ターゲットに入らなかった人はどうするんだ!」「社内でターゲットにならなかった人にはブランドが浸透しなくても良いの?」と感じる方もいらっしゃるかもしれません。
その疑問に対するお答えは以下でお伝えします。
皆さまは「パレートの法則」という集団心理学の理論をご存知でしょうか。
これは、集団に何かを伝えた際に”全体の2割が肯定的に受けとめ、6割が様子を見る、残りの2割が否定的に受けとめる”結果になるというものです。
この考え方をインナーブランディングの社内ターゲット設定に取り入れると、社内でブランド浸透や変革を好意的に受け止めてくれる”最初の2割”の方を見定めることが非常に大切であるということが言えます。どのような組織においても取り組みに対して肯定的な方と否定的な方は必ず存在しますから、まずは肯定的に受け止めてくれる方々に共感して頂くというわけです。
この2割の方々に共感頂けると、様子見層である6割の方に伝播しやすくなり、クリティカルマス(臨界点突破)が発生します。そうなれば、社内の空気は「ブランドを理解し、共感することは当たり前だよね。」となるため、取り組みに対して否定的な”最後の2割”層にもアプローチしやすくなるのです。この状態になれば、会社全体でインナーブランディングの熱が非常に高まっている、非常に良い状態と言えます。
要は、社内ターゲットを定めることは「ターゲット外の人を除外すること」ではなく、「社員全体に効率的にブランド浸透を図る」ために有効な手段であるということです。
最後に、補足ではありますが”最初の2割”層をどう見定めるかのポイントです。
これについては組織の規模や風土等により多少違いがありますが、以下の3つがあげられると考えております。
①社内での影響力が強い
②現在、マネジメントと現場の実務の双方をこなしている
③組織の現状に危機感を抱いている
インナーブランディングの推進をお考えの方は、上記ポイントを踏まえて是非”社内ターゲット”の設定を考えてみてください。
ここまでお読み頂き誠にありがとうございました。またお会いいたしましょう!