洗顔をはじめとするスキンケア商品の製造・販売を手掛ける化粧品メーカー、ロゼット株式会社。消費者のニーズを捉え、戦略的なマーケティング活動を展開するための「消費者セグメントプロファイルブック制作」、商品企画の「型・フロー」を整備する「商品企画フォーマット」制作を行った。
島田様:これまで以上に、消費者のニーズに沿った商品企画を行い、当社ならではの確固たるマーケティング戦略の基盤を創りたいと考えていました。もともと、当社ではフォワード(現:バイウィル)さんが提供している「Flower」(日本人を生活や消費に対する価値観で分類したマーケティングセグメンテーション)を活用していたのですが、より美容に特化したセグメントを構築したいと考えました。価値観やライフスタイルといった一般的な情報と美容に関する詳細な情報を組み合わせ、より高いレベルで商品企画に活用できる内容にするために、フォワード(現:バイウィル)さんにご支援を依頼することにしました。
島田様:「Flower」には生活者の価値観や消費全般に関する豊富な情報が詰まっていますが、その情報と、肌悩みなど美容に関する詳細な情報を組み合わせて新しいセグメントとして再構築しました。そうすることで商品企画に活かすための人物像や人となりがより立体的にイメージできるとともに、セグメントごとの市場ボリュームや相対的な関係性なども新たに捉えなおせるため、それらの情報が集約されたプロファイルブックとして制作していきました。
※フォワード(現:バイウィル)の価値観セグメンテーション「Flower」に関する詳細はこちら
「プロファイルブック」の一部ページ抜粋
島田様:それぞれのセグメントに膨大な量の情報が詰まっていたので、最初は読み込むのに大変なところもありましたが、今では皆がターゲット像をかなり深掘りして考えられるようになりました。例えば、肌悩みが多いタイプの人だとしても、「パッと一つで解決したい」と考える人なのか、「手間暇かけることはいとわず、肌に良いことをしている感覚を得たい」人なのかでは、打ち出す商品が変わってきます。以前と比べてターゲットのイメージをはっきりと描けるようになったことで、効能や成分、値段からパッケージはどうしたら良いかまで、商品企画に関する一つ一つの要素をリアルに具体的に膨らませることができるようになりました。
各セグメントと市場に存在するブランドの関係性を現在・将来予測で表現した「ブランドマップ」も併せて制作
島田様:大きく2つの目的があります。1つ目は、ターゲットと企画の接続です。プロファイルブックによって、ターゲットの肌悩みと美容価値観を深掘りできるようになりましたが、企画した商品が本当にそのターゲットが求めているものなのかを検証するロジカルな思考をアウトプットすることが必要でした。今回制作した企画フォーマットは、フォーマットに沿って検討を進めることで、検証とアウトプットをスムーズに行うことができるようになっています。
2つ目の目的は、打ち出したい商品カテゴリにおける市場動向や競合分析、今後のマクロトレンドや自社の強みを活かせるかどうかなど、商品化において欠かせないビジネス的観点を漏らさずに検討できるようにすることです。こうした市場・競合・自社における検討事項を企画フォーマットに盛り込んでいます。この2つの目的を果たす要素が網羅されたものを企画フォーマットとし、それを使いこんでいくことによってメンバーの企画力向上を目指しました。
「商品企画フォーマット」の一部ページ抜粋
島田様:「企画フォーマット」を使うことによって、メンバーが提案した企画の要素分解やターゲットとの接続において客観的な視点を持つことができるようになりました。これまで曖昧になりがちだった部分が少しずつクリアになり、企画段階で今までよりもかなり深く思考できるようになってきており、課内提案時や他部署に向けた説得力も増してきていると感じています。
島田様:コンサル会社さんならではかもしれませんが、徹底して左脳的なロジカル思考でご対応いただいたことが印象的です。当社にもとても良い刺激になりました。もともと、当社の企画メンバーは若手が中心の組織で、アイデアは次々に産まれてくるという良さがある一方、「本当にこの商品が売れるのか」といった根拠や説得力に課題も感じており、ロジカルな面を強化したいところでした。
代表の伊佐さんをはじめ、フォワード(現:バイウィル)さんにはアイデアで押し切らずに誰もが納得できる内容になるまで徹底してロジカルにご指摘いただきました。“痛いところを突かれている”感覚も多く味わいましたが、私たちの課題から目を背けずに一貫した姿勢でアドバイスくださいました。例えるなら筋トレのような感覚に近いですが、私たちも懸命に向き合わせていただいた結果、チーム全体として思考力が高まってきているのかなと感じています。
フォワード(現:バイウィル)さんにご支援いただいたもの全てをその通りに行おうとすると、情報量や考えるべきことが多くてヘビーに感じたところも正直あります。ただ、当社の企画メンバーは企画に対する熱意も強く、妥協しないメンバーが多いということもあり、粘り強く向き合わせていただきました。その結果、ターゲットにしたい人物像を考えること一つをとっても、「この人はどんな人物なのか」を徹底的に考え抜くようになり、全体として、メンバーの思考する力が高まった気がします。そして深く考える習慣が身についたからこそ、現在はご支援いただいたものの中から重要な部分をカスタマイズし、より自分たちにあった方法で運用ができるようにもなってきています。
島田様:当たり前のことではありますが、売れる商品を創ることが会社の成長に繋がります。マーケティング部として、消費者に強く求められる商品を世の中に届けていきたい。そのために、プロファイルブックや企画フォーマットを制作・活用することで、当社のマーケティングの基盤を整え、部署全体のレベルアップをはかっていきたいと思います。今回手にした武器をとことん使いこなし、1年後・2年後・10年後と結果を出し続け、マーケティング部が会社を引っ張っていける。そのような存在になっていきたいと考えています。
(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)