事例 | 株式会社バイウィル

時代の変化とともに、取り組みを変化させ、先駆的に環境問題と向き合う/株式会社三光堂 様

作成者: 株式会社バイウィル|2025.05.15

概要

もう間もなく創業80周年を迎える、酸素・窒素・水素・炭酸ガス・ヘリウム・アルゴン・工業薬品などガス製品の販売を行う、株式会社三光堂様。単に取り扱っているガス製品を販売するのではなく、さまざまな業界、例えば、鉄鋼、生命科学、医療、輸送機器、食品などにおいて、ガス製品を使用したソリューションの提供までを行っているのが特徴です。「長い歴史で培った経験と知識とSDGsの発想力で新たな価値を創造する。」をホームページの会社紹介でトップに掲げ、環境への貢献にも積極的に取り組んでいます。

今回、ともに地域脱炭素を進める弊社パートナーである、大垣共立銀行様のご紹介で、バイウィルを通じて、同社の本社がある岐阜県で創出された森林のJ-クレジットをご購入いただき、自社が排出するCO2排出量のオフセットを行う予定です。

 


ご提供サービス

・「森林J-クレジット」の販売

 

 

「環境に配慮しなければ、今後、事業ができなくなる」と考え、環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001を取得

── まずは、三光堂様の事業内容を教えてください。

大野様:当社は、まもなく創業80周年を迎える、すべてのガス類、酸素・窒素・水素・炭酸ガス・ヘリウム・アルゴン・工業薬品などを販売している企業です。多くのガス販売事業者はお客様から注文を受けたら、ガスをお届けする事業を行っていますが、当社は取り扱っている製品を使ったソリューションのコンサルティング提案を行っている点が、他社とは異なる特徴です。そのソリューションサービス展開の範囲はかなり幅広く、鉄鋼、3Dプリンタ、医療、生命科学、運輸機器、食品、化学など様々なジャンルにおいて、当社のソリューションをご活用いただいています。
具体的には、鉄鋼、熱処理などの過程におけるソリューション、農業・食品加工におけるソリューションなどがそれにあたります。

 

代表取締役会長 CEO 大野 正和 様

 

 

── 会社のホームページの会社案内のトップに「長い歴史で培った経験と知識とSDGsの発想力で新たな価値を創造する。」のなかに、「SDGs」という言葉が出てきますが、以前から環境問題などに関心がおありだったのでしょうか? 

大野様:はい、そうですね。「ガス」というと「怖いもの、危険なもの」とか「環境によくないもの」というイメージを持つ方がたくさんいらっしゃいます。もちろん当社では、法律にのっとって、厳密な容器耐圧管理体制から、品質管理まで詳細な分析を常に行っており安全・安心を徹底しています。

環境に関しましても、産業廃棄物に関する勉強をしている際に知った、ISOを取得することで、環境にも配慮した事業展開を行っています。まずは2003年に他社に先駆けて、品質マネジメントシステムに関する国際規格ISO9001を、そして2004年には環境マネジメントシステムに関する国際規格ISO14001を取得しました。取得には、専門用語なども多く、とても苦労したことをよく覚えています。ISOは一人でするのでなく、社員全員参加で認証を取りました

ISO取得に至った根底には「これからは環境に配慮しなければ、事業ができなくなる」といった思いがありました。ですから、社員の中から「ISOの取得は難しいからもうやめたい」といった声が上がった際にも、「これから先、事業ができなくなってもいいのか」とはっぱをかけたほどでした。他社に先駆けてISOを取得したため、ISOが普及し、取引先から「ISOを取得していますか?取得していなければ、取引ができません」と言われても、「当社ではすでに取得しています」と答えることができました。現在のように気候変動で環境の問題が重要視される以前から、当社では環境問題に重きを置いた事業を展開していたのです。

 

三光堂様で取り扱っているガス

 

岐阜の森を守るために、「地産地消」で、森林J-クレジットを購入

──  ISOで環境へのお取り組みを始め、そしてSDGsにつながっていったんですね。

大野様:はい。東京である勉強会に参加した際、参加者の方の中に、見たことのないバッジをスーツの胸につけている人がいたんです。初めて見たものですから、その方に、そのバッジについて質問をし、SDGsについて、さまざまな説明を聞きました。その話を聞き、これは環境にとどまらず、社会をよりよくする、素晴らしい概念だと思いました。

そこで、当社でもこれまで取得していたISOに加えて、SDGsにも取り組むことに決めました。岐阜県では、まだ他の企業がSDGsの取り組みに着手する前のことだったと思います。そして会社のホームページに「SDGs」という言葉を盛り込み、取り組みの証として、私自身SDGsのバッジをいつもつけています。まだ岐阜では、SDGsがそれほど浸透していないころから、取り組みを始めたので、他社の方から「そのバッジはなんですか」と聞かれることも多かったです。岐阜県内で先駆的に取り組みをはじめられたことは、誇りに思っています。名刺や自社のHPもSDGsの概念を取り入れたものに変更しました。

── 今回、森林のJ-クレジットをご購入いただいたわけですが、それまでにJ-クレジットのことはご存じでしたか?

大野様:実は、3年くらい前に、ある所からの紹介で、J-クレジットを購入する一歩手前まで話が進んだことがあるんです。とても環境にいいものだと思い、興味を持って購入を検討しました。しかし、当時の担当者の説明がわかりにくく、CO2排出量の算定をしなければならないなど話が二転三転したりしたため、その時は仕方なく、興味はあったものの購入をキャンセルしたんです。なので、今回購入するにあたっては、J-クレジット自体の存在や仕組みは、なんとなくではありますが、知っていました。

── 3年前はキャンセルした、森林のJ-クレジットをご購入いただいた理由は何だったのでしょう。 

大野様:理由としては、大きく2つあります。1つ目は、今回バイウィルさんを紹介してくださった、大垣共立銀行様とは日ごろから関係性が深く、信頼関係が構築されています。そんな大垣共立銀行様からのご紹介なら、バイウィルさんを信用しても大丈夫だろうと思ったということです。2つ目は、バイウィルさんの担当者である高橋さんの説明が、前回の担当者と違って、ロジカルでとても分かりやすかったというのも、大きな理由になりました。

3年前に購入をキャンセルしてから、簡易版ではあるものの、当社から排出されているCO2を算定するシステムを作っていたことも影響しています。自社のCO2算定ができていたので、いざJ-クレジットをご購入し、活用しようという段になっても、3年前と違って準備が整っており、購入がスムーズにできたという面もあるでしょう。

── 今回森林のJ-クレジットをご購入いただくにあたって、こだわった点などはございますか? 

大野様:当社は岐阜にある企業で、岐阜で事業を行っておりますので、当然CO2も岐阜で排出されます。ですから、カーボンクレジットを活用してオフセットするなら、岐阜で作られたクレジットを活用したいという思いがありました。J-クレジットの「地産地消」ですね。もう一つは永続的に林業を行っている自治体、森林組合を支援したいという思いもありました。森林は日本の国土にとってとても大切なものであり、維持することがとても難しくなってきているという話もよく聞きます。そして、なにより我々にとってとても身近なものです。だからこそ、永続的な林業への取り組みが必要だと思います。

そこで、J-クレジットを購入するなら、岐阜の森林で作られた、永続的に事業が行われている自治体、森林組合のクレジットがいいと考えていました。「地産地消」ではないですが、地元への貢献がしたいという思いもありましたね。バイウィル担当の高橋さんに、購入先をいろいろ相談しながら、ていねいに説明をしてもらうことで、今回、他社に先駆けて、森林J-クレジットを購入することができました。バイウィルさんを通じて購入して、本当によかったと思っています。

 

「CO2排出量削減のロードマップ」を求められる時代がくることを確信し、J-クレジットを購入

三光堂様で使用している社用車

 

── 今回ご購入いただいた、森林J-クレジットはどのように活用なさるご予定ですか?

大野様:CO2の排出量を算定してみたところ、当社では、営業車やガスのボンベを運ぶ社用車からのCO2排出量が最も多いことがわかりました。どちらも、事業を行う上で欠かすことができないものです。削減するにも、削減しようがない部分です。今回購入した森林J-クレジットは、これらのオフセットに活用します。

最近では取引先から、CO2排出量の削減について要請されることが増えてきました。先日も、ある取引先から、ドイツの本部とCO2排出量の削減に関してやり取りするように要請を受けました。そういった時代の流れに対応するために、これからは、CO2排出量削減のロードマップの提出を求められるような時代が来ることを確信したんです。

これからは、当社のように大企業ではなくても、CO2の排出量削減は大きなテーマになっていくでしょう。取引先から「あなたの会社のCO2排出量削減はどうなっていますか」と問われた際に、「国に認められた森林J-クレジットを活用してオフセットしています」と堂々と答えられる企業でありたいと思います。

── 今回バイウィルを通じてJ-クレジットを購入されたわけですが、今後はどのような展開・展望を描いていらっしゃるのかを教えてください。

大野時代が変われば、当社も環境への取り組みも変化していきます。ISOからSDGs、そして今回のJ-クレジット購入と、時代の先を読み、先駆的に環境問題に取り組んでまいりました。また新たにカーボンクレジットを購入することも含めて、これからも時代の流れを読んで、新たな取り組みが必要になれば、その都度、先駆的に対応していきたいと思っています。当社は決して、大きな企業ではありません。しかし、「山椒は小粒でもぴりりと辛い」ということわざもあります通り、そんな企業を私は目指しています。事業を大きくすることはもちろんですが、環境問題への取り組みも、引き続き先見性をもって行動していきたいと思っています。

 

 

 ───本日はありがとうございました。

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)