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なぜ最大 9 割控除が可能なのか|企業版ふるさと納税の仕組みと制度趣旨、地域再生計画と脱炭素の接点

作成者: 株式会社バイウィル|2026.03.03

企業を取り巻く環境が変化するなか、事業活動とあわせて社会や地域との関わり方が注目されるようになっています。こうした背景を受け、2016年にスタートした企業版ふるさと納税は、企業の実質的な負担を抑えながら地方創生に貢献できる制度として注目されています。
本記事では、企業版ふるさと納税の基本的な仕組みや税制の考え方、寄付の形態、企業や自治体における活用の実情について、わかりやすく解説します。 

最大約9割の税額控除が特徴!企業版ふるさと納税とは?

企業版ふるさと納税(地方創生応援税制)は、国が認定した地方創生プロジェクトに企業が寄付を行うことで、法人関係税の軽減を受けられる制度です。
寄付額の最大約9割が軽減されるため、企業は実質的な負担を抑えながら、地域の取り組みを支援することができます

具体的には、寄付額の約3割が「損金算入」による軽減効果となり、さらに最大6割が「税額控除(法人住民税・法人税・法人事業税からの控除)」として差し引かれます。 例えば、1,000万円を寄付した場合、最大約900万円の法人関係税が軽減されるため、企業の実質負担は約100万円で済むことになります。

 

企業版ふるさと納税税制控除の概要

企業版ふるさと納税リーフレット(内閣府 地方創生推進局)より引用

企業版ふるさと納税の基本と「3つの寄付形態」

企業は以下の3つの形態を通じて寄附をします。寄付の方式はそれぞれメリット、注意点があります。

 1. 一般的な「現金寄付」

最も標準的な方法です。1回あたり10万円から寄付が可能で、災害支援やインフラ整備など幅広いプロジェクトに活用されます。

  • メリット:使途が幅広く、手続きが比較的標準化されている。

  • 注意点:税控除は後から行われるため、寄付の時点では一時的なキャッシュアウト(現金の流出)が発生し、資金繰りへの考慮が必要です。 

2.人を育てる「人材派遣型」

専門知識やノウハウを持つ企業社員を自治体へ派遣し、その人件費相当額を含む寄付を行う仕組みです。

  • メリット:企業側は人件費の実質負担を抑えつつ社員の育成ができ、自治体側は専門人材不足を解消できる「Win-Win」の関係が築けます。
  • 注意点:人事調整や派遣契約など、通常の寄付よりも調整コストがかかります。

3.資産を活かす「物納(物品寄附)」

現金ではなく、企業が保有する商品や設備などの「資産」を寄付する方法です。

  • メリット::自社の製品が地域課題の解決に直結するため、自社商品・サービスのPRやブランド向上に効果的です。また、余剰在庫や資産を活用するため、新たな現金の持ち出し(キャッシュアウト)を抑えられる点も注目されています。
  • 事例::ソーラーパネル、大型蓄電池やEV車といった脱炭素商材があります。

令和6年度は8,000社超が制度を利用!なぜ今、導入企業が増えているのか?企業が得られる3つのメリット

 「ふるさと納税」と聞くと、返礼品をイメージされるかもしれませんが、企業版では経済的な見返り(返礼品など)の受領は禁止されています。2020年の税制改正以降、活用企業数は増加しています。 

企業版ふるさと納税寄附件数と寄附総額の推移


 ※地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の 令和6年度寄附実績について(概要) より
「1.年度別の寄附実績 」を引用しグラフ化  

 内閣官房新しい地方経済・生活環境創生本部事務局  内閣府地方創生推進事務局による地方創生応援税制(企業版ふるさと納税)の令和6年度寄附実績について(概要)によると、令和6年度には約8,464社が制度を利用しています。税金対策以外に、企業は何を求めているのでしょうか。主なメリットは以下の3点です。 

  1. 社会貢献・SDGsの達成: 自社の事業領域に近いプロジェクトを支援することで、SDGs(持続可能な開発目標)への貢献を具体的にアピールできます。これは投資家やステークホルダーからの信頼(ESG投資)にも繋がります。
  2. 自治体とのパートナーシップ構築: 寄付をきっかけに自治体との接点が生まれ、実証実験の場の獲得や、地域資源を活用した新事業展開へと発展するケースが増えています。
  3.  広告・ブランディング効果: 感謝状の贈呈式や、自治体の広報誌・Webサイトへの社名掲載、プレスリリースなどを通じて、企業の認知度向上やイメージアップが期待できます。 

寄付金はどのように活かされているのか?企業が支援できる「地域再生計画」の広がりと現場の実情

企業の寄付金は、地域課題の解決を目的に内閣府が認定した「地域再生計画」に基づいて活用されます。その分野は多岐にわたり、現在は以下のような25のカテゴリに分類されています。

  • 人・社会: 子育て支援、人材育成、移住・定住促進
  • 経済・産業: 企業誘致、観光・交流、農林水産業
  • インフラ・環境: 防災対策、インフラ整備、エネルギー、環境保全

一方で、こうした取り組みを実行する現場では、人手や専門知識、予算配分といった面で課題を抱える自治体も少なくありません。
特に、DXや脱炭素のような専門性の高いテーマでは、計画があっても具体的な施策に落とし込めないケースが見られます。

そのため、企業には単なる資金提供にとどまらず、モノや人、ノウハウといった自社の強みを活かした関わり方が、これまで以上に期待されています。

脱炭素をやるべきことから価値ある選択へ~バイウィルが担う役割

地域再生計画の中には、脱炭素、ゼロカーボン、カーボンネガティブ等、脱炭素に関するプロジェクトを推進している計画があります。具体的な施策としては、EVの普及、水素利用、再エネ導入、バイオマス発電、エネルギーの地産地消等が挙げられます。また、新潟県柏崎市のように、気候変動をビジネスチャンスとして捉え、再エネ脱炭素エネルギーの供給元として、積極的に再エネ政策に寄与する物納を受け入れている自治体もあります。
【引用元】新潟県柏崎市, 脱炭素社会を見据えたエネルギーのまちづくり

【総研ブログ】カーボンクレジットは「地方創生」の鍵となるのか?』でも触れましたが、地方にとって、まだまだ脱炭素はハードルが高いものがあります。再掲になりますが、問題は経済的な余力が少ないと、脱炭素に取り組むためのイニシャルコストやマンパワーが不足しがちで、なかなか具体的な施策がはじめられない(もしくはそのモチベーションが湧かない)点と、仮に取り組みを始められたとしても、その成果を経済的なメリットに直結させることが難しい点です。

企業版ふるさと納税は前述のハードルであるイニシャルコストやマンパワーを、乗り越えるための足がかりになる力を持っています。株式会社バイウィルは、GXを「やるべきこと」から「やりたくなること」へつなぐ「Climate Asset Developer(クライメート・アセット・デベロッパー)」です。バイウィルは全国の自治体・金融機関様とのパートナーシップが167件を超え、地域脱炭素のネットワークを大きく広げました。バイウィルは企業版ふるさと納税を通じて、地域脱炭素の促進を支援したい企業様の意向と、自治体様をマッチングいたします。

Climate Asset Developer
Climate Assetとは、環境に対するポジティブな行動が価値を生み、守り、広げ、次の選択肢を増やす「経営資産」のこと。そして、Climate Asset Developerであるバイウィルは、その経営資産を「見つけ」「磨き」「設計し」「市場につなぐ存在」です。