前回までは社内向け周年施策について取り上げてきましたが、今回は社外向け施策についてお伝えします。
社外向け周年施策の目的は、「自社ブランドが提供する価値を明確に定義し、消費者や顧客との接点で一貫性をもって伝えていくきっかけとすること」です。「認知度の向上」「リブランディングの浸透」などはあくまでもその結果として得られるものとなります。
まず、その大前提としてブランドの定義からご説明します。
ブランドとは、顧客の中での価値を想起させ、“期待を高める”役割を果たすものです。ブランドを確立させるには、3つのステップがあります。
① 消費者がブランドの名前やロゴを知っている
当然ですが、そもそも名前やロゴが記憶に残っていなければ「ブランド」の役割を果たすことはできません。
② 消費者がそのブランドの特徴を理解している
「(ブランド)と言えば○○」という価値への期待(イメージ)を持ってもらえるような状態です。
例)「Google」といえば「検索」
③ ブランドの特徴からブランドが想起される
「○○と言えば(ブランド)」という想起までなされて、ブランドは確立された状態になります。ここまでブランドが確立されると、非常に強い競争優位となります。
例)「検索」といえば「Google」
では、「ブランド」はどのように創られるのでしょうか。消費者がブランドに接するのは、その商品やロゴだけではなく、店舗や接客、広告、SNSと多岐にわたります。そのようなあらゆる顧客接点で、一貫して、継続的にブランドの価値を伝え続けていくことで、顧客・消費者の頭の中に期待(イメージ)が蓄積され、その積み重ねがブランドの確立につながります。
周年という、企業・ブランドに注目が集まりやすくなる機会を活用して、消費者にブランドの価値をさらに理解してもらうため、ブランドの価値を象徴するような世界観や価値を発信することが、周年企画でやるべきことになります。
先述したように、ブランドの確立には「一貫性」と「継続性」が重要ですが、それにはブランドの提供する価値を明確に定義することが必要です。提供価値が曖昧なままだと、周年事業で適切な企画をすることができず、ただの祝賀になってしまったり、バラバラの施策が乱立するだけという結果も起こり得ます。そのような失敗を防ぐために必要な「軸」となるブランドの提供価値を定めるには、下記の4つの概念を構造的にとらえて整理するのが有効です。
コアバリュー
ブランド価値を一言で表現したものです。
ベネフィット
顧客が得られる具体的な便益で、ターゲットがブランドを選ぶ理由になります。
エビデンス
ベネフィットを実現するために必要なことや、ベネフィットの根拠や事実です。主にマーケティングの4Pがこれに当たります。
リソース
エビデンスの裏付けとなる社内資産や仕組みです。
ここで注意していただきたいのが、説明したようなフレームワークを使って決めるのは、周年事業のコンセプトではなく、周年事業を行う前提となるブランドの提供価値そのものだということです。ブランドの提供価値を決めることが、周年事業での適切で有効な企画の実施、そして周年を機としたブランドの確立や周年後のブランドの運営につながります。
周年企画をただの祝賀にしないために、まずは社外に向けて発信する「ブランド価値」を明確にすることから始めてはいかがでしょうか。
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周年ブランディングの進め方 ④社外向け周年施策~メディアの活用法とその効果