前回は、社内向け周年施策の前提となる「ミッション・ビジョン・バリュー」についてお伝えしました。今回は、それを浸透させるにはどのように具体的な施策に落とし込んでいくのかをお伝えします。

理念浸透における3つの“壁”

「理念」や「ミッション・ビジョン・バリュー」を浸透させていくには、その障害となる“壁”が3つあります。周年事業を機にその壁を乗り越えるには、まず、御社がどの壁にぶつかっているのかを認識することが必要です。それにしたがって、注力すべき施策が明らかになります。

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①“認知・理解の壁”

社員・従業員がそもそも理念体系の存在を知らない、内容を理解できていない状態です。ミッション・ビジョン・バリューを策定した直後や、策定してから時間が経過して多くの人が入れ替わっているときによく起こり得る状態です。この壁を克服するには、「本気度の伝達」と「多頻度接触」が効果的です。

・「本気度の伝達」
理念浸透が会社にとってどれだけ重要な取り組みであるかを伝えることです。具体的な施策例としては、全社員イベントの実施、トップの発信やコミットメントなどがあげられます。

・「多頻度接触」
社員の目に触れる機会を増やすことで、認知してもらうことです。カードやポスターの作成、社内報など社内メディアでの発信が代表的な施策となります。

②“共感の壁”

理念体系を認知はしているが、普段特に意識していない、行動変化のモチベーションになっていない状態です。乗り越えるポイントは「重要性と魅力の訴求」です。

・「重要性と魅力の訴求」
理念浸透が会社や自分にとってどれだけ重要で魅力的な取り組みであるかを伝えることです。具体的には、ミッション・ビジョン・バリューを象徴するようなムービーを制作してエモーショナルに訴求したり、表彰制度の設計~運用を図り、行動のモチベーションを創り出すというような施策が挙げられます。

③“行動の壁”

理念体系に共感し、行動変化のモチベーションにもなっているが、具体的な業務とどう結びつけたらよいかがわからない状態です。「業務との接続」と「人事制度との接続」がポイントです。

・「業務との接続」
ミッション・ビジョン・バリューが個々人の業務とどうつながっているのかの理解を促すために、職場単位でワークショップを行うのが効果的です。

・「人事制度との接続」
ミッション・ビジョン・バリューに沿った行動がきちんと評価される仕組みを整えることが重要です。やればやるほど評価される仕組みが整ってなければ、行動のモチベーションも維持しにくく、理念体系は根付きません。反対に、制度として整備しておくことで、目標設定や評価のタイミングで定期的に理念体系がリマインドされます。(これは、周年後の取組みとすることも多いです)

以上のような施策があげられますが、昨年から新型コロナウイルスが流行し、人が集まりにくくなったことで、周年事業もリアルの場からオンラインへの移行が求められています。ここからは、コロナ禍における周年企画の変化についてお伝えします。

コロナ禍における浸透手法の変化

オンラインに移行するといっても、仕方なくオンラインに移行するのではなく、オンラインの特性を活かしてより効果的に行っていくと捉えることが重要です。オフラインとオンラインには、次のような違いがあります。

・違い①
オフラインは場所や時間に縛られてしまい、単発のイベントになってしまいがちです。しかし、オンラインは空間的・時間的制約を受けにくく、実施コストも抑えやすいという特徴があります。したがって、「高頻度」での施策展開が可能となり、周年事業にありがちな「つくりっぱなし・やりっぱなし」を防ぎやすいというメリットがあります。

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・違い②
オンライン環境だと双方向のコミュニケーションが難しいと考えられがちですが、実は、オンラインの方が受け手からの発信のハードルが下がります。対面だと、座席配置などの話者との物理的距離によって関与や熱量に差が出やすかったり、発言すると注目を集めてしまうため発言がしづらかったりします。しかし、オンラインの場合は、画面越しではありますが、全員が最前列で距離感が近くなります。また、発言をしても注目を集めることがなく、「いいね!」「スタンプ」や「チャット」のようにライトなコミュニケーションをとることも可能です。この特性を活かすことで、双方向のコミュニケーションができ、「やらされ感・受け身の姿勢」になることを防ぎやすいというメリットに繋がります。

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最後に、オンラインでの周年事業の事例として、東亜建設工業株式会社様の事例をご紹介します。

周年を機に新しく策定した新行動指針を共有するミーティングを、オンラインで、全12回1600名参加という大規模な形で実施しました。取り組みの背景から設計~実施の進め方まで詳しくご紹介している記事がございますので、宜しければご覧ください。

 

長期ビジョン実現に向けた行動指針策定&浸透プロジェクト

①「新行動指針」の策定
https://www.forward-inc.co.jp/works/toa-const_1

②全社初のオンライン共有ミーティングと社外発信
https://www.forward-inc.co.jp/works/toa-const_2

 

今回は、理念浸透のための施策をどのように企画すべきかをお伝えしました。次回は、社外向けの周年事業の前提となるブランドの価値についてお伝えします。

▼続編はこちら
周年ブランディングの進め方 ③社外向け周年施策~ブランドの価値とは