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【脱炭素商品・サービスブランディング②】「単体」を尖らせるか、「全体」を束ねるか?脱炭素ビジネスにおける2つのブランド戦略パターン

作成者: 株式会社バイウィル|2025.11.14

はじめに:自社に合った「ブランド化」の形を選ぶ

前回の記事では、脱炭素市場の同質化の課題を克服するために、ブランディングによる「識別記号」の創出が不可欠であることを解説しました。

では、実際に自社の脱炭素商品・サービスをブランド化する際、どのような戦略パターンがあるのでしょうか?
大きく分けて、以下の2つのパターンが存在します。

  • 単独商品のブランディング(プロダクトブランディング)
  • GXカテゴリとしてのブランディング(カテゴリーブランディング)



どちらが良い・悪い、ということではなく、事業の規模やステージ、今後の成長方針によって、適切な戦略が異なってきます。

【プロダクトブランディング】個の強みを際立たせる

プロダクトブランディングは、個々の商品やサービスに独自のブランド名称やロゴを与え、その製品固有の価値を訴求していく手法です。

メリット
  • 強力な差別化:一つの商品の技術、機能、思想にフォーカスするため、その魅力や強みを最大限に際立たせることができます。
  • スピーディーな市場浸透:特定の市場セグメントに対する訴求が明確なため、ニッチ市場での成功確率が高まります。

デメリット
  • 個別の強みの追求:企業全体としてのGXビジョンや思想が顧客に伝わりにくくなります。
  • ブランド資産の分散:個々のブランドごとに認知度を高める必要があり、マーケティングコストが分散しやすいです。

向いている企業像
  • 特定の技術や機能において圧倒的な競争優位性を持つ企業。
  • 脱炭素領域で複数の商品を持っているが、それぞれでターゲットや提供価値が大きく異なる企業。

【カテゴリブランディング】包括的な信頼とパートナーシップを訴求する

カテゴリブランディングは、複数の脱炭素商品・サービス群を、共通のコンセプトを持つ一つの大きなブランドとして包括的に訴求する手法です。

メリット
  • 包括的なパートナーシップ:顧客の選択負担を軽減し、貴社が「複数の領域をワンストップで任せられるパートナー」であることを示すことができます。
  • ブランド資産の効率的な蓄積:カテゴリブランドの認知度が上がれば、傘下の新商品の市場導入がスムーズになります。マーケティングコストも分散しにくいです。

デメリット
  • 個別の強みの埋没:カテゴリのメッセージが強すぎると、個々の商品の独自の特徴が伝わりにくくなる可能性があります。
  • コンセプト設計の難易度が高い:将来の製品群も踏まえて、何を軸とするのかを構造的・戦略的に策定する必要があります。

向いている企業像
  • 脱炭素分野で既に多様なソリューションを保有している企業(クロスセルを狙いたい企業)。
  • 企業全体としてのサステナビリティ方針や環境ビジョンを経営戦略の柱に据えており、包括的な支援を意思決定している企業。

貴社が選択すべき戦略を判断する3つの観点

では、これらの判断はどのように行えばよいのでしょうか?

カテゴリとしてのブランディングが特に有効となるかどうかを判断する際には、以下の3つの観点から検討することが推奨されます。

事業ポートフォリオと成長戦略
  • 今後、脱炭素関連の製品やサービスを増やす計画があるか?(新商品導入時に、カテゴリブランドが資産として活かせます)
  • 脱炭素ソリューション事業を企業の中核事業として位置づけ、コーポレートブランドと紐づける意向があるか?

市場の競争環境と顧客のニーズ
  • 市場が成熟し、機能的な差別化だけでは難しくなっているか?(包括的な信頼感の訴求が有効)
  • 客が個別の技術的優位性よりも、包括的なソリューション(ワンストップで任せたい)を求めているか?

ブランド資産とリソース
  • 既に強力な企業ブランド(信頼性)があり、それを活用してカテゴリブランドを構築しやすいか?
  • マーケティングに投下できるリソースが潤沢でないか?(個別ブランドはリソースが分散するため、限りがある場合はカテゴリブランド化が効率的)。

最大の壁「コスト増」にアプローチしていく実践プロセス

今回の記事では、脱炭素商品・サービスをブランド化する際の戦略パターン、「プロダクトブランディング」と「カテゴリーブランディング」についてご説明しました。



次の記事では、ブランド構築の3ステップ(コンセプト策定、アセット制作、サービスサイトや営業への落とし込み)を詳述するとともに、営業シーンで大きな壁となる「顧客にとってのコスト増」という問題をブランディングによってどう乗り越えるかについてもお伝えします。

 

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「顧客のコスト増」の壁を打ち破る!営業力を最大化する、脱炭素ソリューションブランド構築の3ステップ


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