父のような経営者の力になりたい

私の父は自営業者で、威厳と優しさのある人でした。苦労を家族に見せる人ではありませんでしたが、時折見せる経営者としての父の姿に憧れつつ、「何か力になれないか」という想いを幼少期から抱いていました。

ある日、就職活動で足を運んだ企業説明会で、一人の方に出会いました。その方とは質疑応答で少しやり取りをしただけでしたが、冷静で威厳がありながら、どこか人としての温かみも感じられる「信頼できる方」という印象を受けました。説明会が終わり退室しようと席を立ったとき、「あなたはこの職業に向いているかもしれない」と突然その方に声を掛けられたのです。その際に頂いた名刺が、「コンサルタント」という職業の存在を知ったきっかけとなりました。
その後、就職活動を通じてコンサルタントという仕事への興味が強まったこと、幼少期に抱いた想いと仕事内容に重なりを感じたことから、就職先をコンサルティング業界に絞りました。企業の資源には、大きく「ヒト・モノ・カネ・情報」の4つが挙げられますが、私自身の関心が強かったのは、父の悩みの種でもあった「ヒト」でした。そのため、「ヒト」を支援テーマとしつつ、本当の実力が身につく環境がある、創業間もないコンサルティング会社に就職を決めました。


俯瞰して本質的な問題を捉えることが求められた

その会社は、良い意味でまさにベンチャー企業でした。仕組みは整備途中で、職域に境目がなかったこともあり、セールスとしての飛び込み営業、コンサルタントとしてのプロジェクトマネジメントや講演、自社の組織開発や新規事業の推進など、本当に多くの経験を積ませていただきました。時に力及ばず、辛酸をなめることもありましたが、振り返ると老子思想にある「上善如水」について学ばせていただく、とてもよい機会に恵まれたと思います。

入社してから日が経ち、ある程度仕事を回せるようになったころ、長く支援の機会を頂いていた企業の人事部長の方から一本のお電話を頂きました。「次期経営層として期待している、現場リーダーの離職が続いて困っている」とのご相談でした。詳しくお伺いしてみると、離職者はこれまで支援した次世代リーダー研修の受講者から出ていることがわかり、私も大変なショックを受けたのを覚えています。なぜなら、お名前を伺えばすぐにお顔が脳裏に浮かびましたし、これから会社を牽引していきたいという強い気概をお持ちの方ばかりだったからです。

調査を進めるなかで、これまでの自分の支援に偏りがあることが見えてきました。
「組織変革」のなかには「従業員の行動や意識を変える」「組織・企業の在り方を再定義する」「評価の仕組みを変える」という3つの軸があると、今なら分かります。しかし、当時は研修やワークショップを軸とした「個のモチベーションやスキル向上」にばかり視点が寄っており、それを受け入れる会社や組織の器を拡げるための働きかけが疎かになっていたのです。会社の在り方や評価制度が変わらないのに、「あなたたちならできる!新しいことをやっていこう!」と鼓舞されるだけの状況では、退職に繋がるのも無理はありません。
このとき、研修としては高い成果を生み出していても、結果として企業と社員の間に大きな歪みを生み出していたことに気づかされました。

当時は結果として、支援企業の経営層や外部パートナーにお力添えいただきながら、何とか窮地を脱するところまでもっていくことができました。しかし、「企業をより高い次元に引き上げることを通じて、そこに関わる人々を前向きにしたい」という自分の想いに反していたことがとても悔しく、責務を全うするためには基礎力と見識が不足していることを悟り、より広い領域を扱う総合系コンサルティング会社への転職を決意しました。


特定領域を越境していくことが求められた

転職後は、様々な領域でこれまで以上に複雑な問題を抱える企業の支援に従事する機会をいただきました。自分が未経験のテーマであることは関係なく、プロフェッショナルとして成果を創出するには、事前の想像を遥かに超える忍耐と努力が必要でした。しかし前職での「悔しさ」があったからこそ、関わりあった皆様から感謝のお言葉を頂くことができたのだと考えています。

こうした日々のなか、一流と評される経営者やコンサルタントの方々にお話を伺う機会に恵まれ、皆様に共通する視点があることに気がつきました。それは、「成果を生むには特定領域を越境しながら入り込む必要が出てくる。そして入り込めばおのずと筋道が見えてくる。それがこの仕事の面白いところ。」ということです。それまで、コンサルタントは「専門家として良い作品作りを支援していくイメージ」でしたが、その視点に気づいてからは「専門家は一側面であり、領域を越境しながら必要な要素をつなぎ合わせ、より良い作品作りを牽引していくイメージ」へと、認識が変化していきました。そうした考えのもと、「より上流からの本質的な支援」と「領域の越境による成長」を目指し、フォワード(現:バイウィル)に辿りつきました。


フォワード(現:バイウィル)は企業変革を促すパワーエンジン

フォワード(現:バイウィル)は、事業成長と組織強化に貢献する「ブランディング」を支援する企業です。
中長期の視点から事業や組織の方向性を描き、様々な領域を越境しながら一貫したメッセージを社内外に浸透させることで、関わる人の意識と行動の変化を生み出していきます。
社会課題に対する企業としての在り方が問われ、根幹からの変革が求められるなかで、フォワード(現:バイウィル)が手掛けるブランディング支援を通じて、多くの企業の変革に貢献していきたいと考えています。そして、フォワード(現:バイウィル)に魅力を感じていただいた皆様とこれから一緒に働ける日々を心から楽しみにしております。