「ブランディング」=アウターブランディング?

に入社するまでは、広告・PRやクリエイティブなど、いわゆる「アウターブランディング」を専門にしていました。
コンセプト・VIの策定をはじめとするブランド開発や、コミュニケーション戦略立案、広告デザイン制作などの対外コミュニケーションを設計するプロジェクトで、ストラテジックプランナーやプロデューサーを担当することが多かったです。

アウターブランディングの仕事を始めた頃は、「圧倒的な商品力さえあれば、本当はブランドの力はいらない」と感じていました。ですが、技術の進歩により、高いレベルで同質のモノが溢れ差別化が難しくなっている世の中で、生活者が商品を「買いたい」と思う理由は商品力に左右されなくなっています。
「ブランド」は、早すぎる時流とニーズの移り変わりに影響を受けず、いつでもターゲットに「気持ちよく買ってもらう」ための企業側の宣誓のようなものだと考えています。
そして、自分の仕事はその宣誓が「的確に相手に刺さるもの」にすることなのだと気づいてから、仕事が楽しくなりました。

ただ当時は、「ブランディング」というのは「アウターブランディング」のことを指すと思っていました。そのため、クライアントの組織や会社の内部の事情には正直関心がなかったです。

ですが、クリエイティブやPRなどのスポットのお仕事を頂いていたところから、年間のコミュニケーション戦略策定、そして新規ブランド立ち上げやコーポレート全体のリブランディングなど、徐々にプロジェクトの川上からアサインいただくようになり、組織の重要性に気づくようになりました。
対面している担当者の方が良いと思っても、その先にいるステークホルダーに理解・納得してもらえないと、よい戦略も施策も機能しない。特に大きな会社ほど、アウターブランディングだけではブランドを変えられないのだと感じ、クライアント内部の意識統一や組織開発などのインナーブランディング領域に目が行くようになりました。


インナーブランディングの重要性を知る

そのきっかけとなった、ひとつのプロジェクトがあります。
あるクライアントが新規ブランドを立ち上げることになり、私もそのプロジェクトに参画していました。ですが、そのブランドは、チームに新しいメンバーが増えたことでうまく意思疎通が図れなくなり、内部の運営体制が原因で日の目を見ることなくプロジェクトが終了するという、残念な結末となりました。

実はそのプロジェクト、元々社内でもあまりよい印象を持たれていなかったそうです。プロジェクトに参加していない方からすると、「何のためにやっているのか」が分からないまま投資ばかりされているのを見て、「その回収っていつできるんですか?」といった批判的な意見も多くあったと聞きました。

それまでは、いいアウトプットができれば社内の感情は気にしなくてよいと思っていたのですが、このプロジェクトを経て、そういうものでもないと知ったのです。
今思えば、前提として内部の統制が取れているのか確認しておくとか、会社の理念に沿ったプロジェクトであることを事前に内外の人にきちんと伝えるなど、そういうところに意識を向けていればよかったなと思います。

一方で、実際に内部の統制から動くことでうまくいった経験もあります。
新しく立ち上がったばかりの会社のブランド支援をしている際、このままいくとまたバラバラの状態になるなと感じ、全員の行動の指針となるものを策定したことがあります。
フォワード(現:バイウィル)で行っているような体系だったものではなかったのですが、あらゆる立場の方が理解しやすく、共感しやすいワンセンテンスを作りました。これが思いのほか活躍して、メンバーのモチベーションも上がり、ブランド構築もうまく進んだのです。
これが成功体験となり、インナーブランディングって重要なんだな、と改めて実感しました。


自身の「成長」と会社への「貢献」が、どちらも得られるフォワード(現:バイウィル)

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インナーブランディングも含め、もっとブランディングのスキルの幅を広げられないかと思い、転職を考えるなかでフォワード(現:バイウィル)に出会いました。
事業戦略などのブランドの最上流から、インナーブランディング、私が専門とするアウターブランディングまで、フォワード(現:バイウィル)ならすべて一貫してできることを知り、ここなら「個人の成長」と「会社への貢献・価値提供」がどちらも達成できると感じました。

ですが、最終的な決め手になったのは、面接で出会った社長やマネージャー陣の人柄です。裏表がなく気持ちいいコミュニケーションがとれ、この人たちと働きたい、と率直に思いました。
入社してからもギャップはなく、フレンドリーでありながらシビアに仕事と向き合う仲間と働けています。仲は良いけれど、ただ気持ちよく過ごすために疑問や課題をなあなあにするのは違うと皆が考えている。お客様のビジネスとフォワード(現:バイウィル)のビジネス、両方の成功にシビアに向き合い、言わなければいけないことは言う、という関係性が心地よいです。


これまでとは違う、面白さと難しさ

フォワード(現:バイウィル)に来てよかったなと思うのは、自分より「できる」と思える人しかいないところです。早く成長したくてそういう環境を望んでいたのでありがたい反面、結構なレベルの高さに焦りを感じてもいます。
また、業務で面白いと思うのは、研修やワークショップ、経営層の方々への提案などで頂くリアクションの早さです。これまでやってきたクリエイティブやPRは、世間に対して施策を打っていくもの。そのため、目の前のお客様が変わる瞬間をすぐに見ることができるのは、アウター領域とは違う面白さを感じています。

一方、難しさとしては、この年齢からコンサルタントの思考をゼロから学んでいるところです。私がこれまでロジックだと思って話していたことが、実はストーリーだったんだ、というようなことも多々あります。
これまでの物事の捉え方を一度捨てる覚悟も必要だなと感じていますが、ロジックとストーリーはどちらも大事なので、バランスをとって自分なりの型を持てたらと思います。


ロジック×クリエイティビティで強いブランドを創る

インナーブランディングや事業戦略を学び、一通りプロジェクトマネージャーとして推進できるようになったとしても、私の強みや思考の起点は、なんだかんだアウターブランディングの領域にあると思っています。
ただ、ロジックがないと本当の意味でのクリエイティビティは生まれないと考えているので、論理的思考力をさらに鍛えながら、ロジックとクリエイティビティを掛け合わせた思考でバリューを発揮したいです。

対外的なコミュニケーションの設計というこれまでの経験を活かしながら、組織のことや事業戦略まで理解しているからこそ、強いブランドの礎が築ける。そんな、自分ならではの仕事をしていけたらと思っています。