概要

電気計測器の専門メーカーとして、社会インフラを支えてきた日置電機株式会社様。自然豊かな長野県上田市に本社を構え、1980年代からの植樹活動など、地域と共生する環境経営を継続してきました。現在、創業100周年にあたる2035年のカーボンニュートラル達成を目指し、再エネ導入、省エネ施策、J-クレジットや非化石証書の活用など積極的に施策を展開しています。

 

今回、国内外全拠点のオフセットに向けたカーボンクレジット・証書の調達を検討するにあたり、バイウィルがオフセット計画の設計から調達までをご支援しました。同社の環境への取り組みに沿った、信頼できる森林クレジットを活用してオフセットを進め、2025年にスコープ12のカーボンニュートラルを達成予定です。

 


ご提供サービス

国内外各拠点におけるオフセット計画・設計のアドバイス

非化石証書・J-クレジット・VCS*認証の海外クレジットの調達支援

 

*VCSとは:「Verified Carbon Standard(認証カーボン基準)」の略で、国際的に最も広く使われているカーボンクレジットの認証制度のひとつ。第三者機関による厳格な審査を通じて、クレジットの信頼性が保証されています。

 

 

脱炭素社会の実現を支える「電気」に携わる事業だからこそ、環境に配慮した経営をしていくことは必然であり使命でもある

── まずは、日置電機様の事業内容について教えてください。

 

巣山様:日置電機は1935年に創業しまして、おかげさまで、今年で90周年を迎えました。私たちは「電気を測る物差し」、として電気計測器の開発から生産、販売・サービスまで一貫して手がけている会社です。

電気計測って、簡単に言うと、電圧とか電流、電力、抵抗みたいな――たとえば「100ボルト」とか「1アンペア」とか、耳にしたことがあるような単位の量や強さを“正しく測る”技術や機器のことなんです。そうした計測器は、電力インフラの現場や工場、研究機関、それから再生可能エネルギーの分野など、実にさまざまな場所で使っていただいています。

最近では、再エネや水素といった新しいエネルギーやEVへの関心が高まっていますよね。そうした脱炭素社会に向けた動きに対しても、私たちの“測る”技術が貢献できる場面は増えていますし、そういった分野の製品開発にも力を入れているところです。

日置電機では2021年から長期経営方針「ビジョン2030」を掲げ、“「測る」の先へ。”というビジョンのもと、持続可能な社会に貢献する会社でありたいと考え実践してきています。電気計測を通じて、世界中のお客様の安全・安心を支えることが、私たち日置電機の使命だと思っています。

 

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日置電機のビジョン2030 「測る」の先へ。 キービジュアル

── HPを拝見して、1988年の森づくりなど、環境への取り組みに早くから力を入れてこられたことに驚きました。環境経営を意識したきっかけや背景について、改めて教えていただけますか?

 

巣山様:はい、私たち日置電機の環境経営の考え方は、1986年に制定した「HIOKIの理念」に端を発しています。この理念では、「人間性の尊重」と「社会への貢献」を大切な価値観として掲げています。今も変わらず、社員一人ひとりの行動の指針であり、企業として社会とどう向き合うかの“原点”になっています。

 

この理念を土台に、2022年には「HIOKIサステナビリティ基本方針」を策定しました。ここでは、環境・社会・経済の調和を基本に、カーボンニュートラルの実現や生物多様性の保全、地域との共生などを重点テーマとして掲げています。

 

私たちが環境経営を本格的に意識するようになったきっかけは、やはり地球規模で進む気候変動の深刻化を目の当たりにして、企業として「自分たちにできることは何か?」と真剣に考えたことです。

 

私たちの主力事業である「電気を測る」という領域は、効率的なエネルギーの利用や脱炭素社会の実現を支える、いわば縁の下の力持ちのような存在です。だからこそ、製品を提供する側として、自分たち自身も環境に配慮した事業運営をしていかなければならない、という意識がより一層強くなりました。

 

それに、本社のある長野県は、自然が本当に豊かな地域です。その自然の恵みを受けて日々の事業が成り立っているという自覚も、環境への意識を高める大きなきっかけになっています。

 

脱炭素のフロントランナーとして、CO₂削減への積極的な投資を進め、2025年スコープ1・2のカーボンニュートラル達成へ

── 環境への意識が高まる背景には、事業の特性や立地も影響しているのですね。現在、環境経営として取り組まれていることにはどんなものがありますか?

 

巣山様:現在は、スコープ12のカーボンニュートラルを2025年に達成することを目指しており、またスコープ3についても2035年までに達成することを目指し、再生可能エネルギーの活用やEVの導入、LED照明化、地域の森林保全など、具体的な取り組みを進めています。

 

現在、本社工場では約2MW規模のソーラーカーポートを建設しており、今年夏の完成を予定しています。一部はすでに発電を開始しており、本格稼働すれば工場で使用する電力の約半分をまかなえる見込みです。また、カーボンフリー電力やカーボンニュートラルガスの購入、本社や福利厚生施設におけるLED照明の全面導入、高効率空調や省エネ機器の導入も進め、施設全体でのエネルギー効率化を図っています。営業車にはEVを導入し、充電設備も設置しました。今後、築35年を迎えた本社社屋についても、ZEB化を見据えたリニューアルの検討を始めています。

 

また、地域企業とも連携し、社内報の一部制作やCO₂排出量の算出といった業務のサポートもしていただいています。今後は、CDP対応など環境経営に関わるより専門的な業務でも、こうした連携を拡大していく予定です。

 

* ZEB化とは:「Net Zero Energy Building(ネット・ゼロ・エネルギー・ビル)」の略で、快適性を保ちつつ、省エネと創エネを組み合わせて、年間のエネルギー消費量を実質ゼロに近づけた建物のこと。 

 

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発電容量2MWのソーラーカーポートと2MWhのリチウムイオン蓄電設備を導入。本社工場で使用する電力の約半分をまかなえる
 (写真左は第1期工事約650kW 写真右はオフグリッドEV充電システム)

 

── ここまで多くの施策を具体的に進めてこられたことに、感銘を受けました。多くの企業がまだまだ脱炭素に向けた取り組みについては様子を見ているなかで、なぜ御社は大きな一歩を踏み出せたのでしょうか?

 

巣山様:そうですね、まず一番の背景にあるのは、やはり私たちの事業が「電気を測る」ことにあり、常に電気と共にあることです。今や、電気がなければ社会が成り立たない時代ですよね。特に近年は、EVの普及などを背景に、ガスや石油から電気への切り替え、いわゆる電化が加速し、電気の利活用が社会の根幹を支えるようになっています。私たち自身も、事業を通じてその変化を日々実感しているところです。

 

この電化が加速する時代だからこそ、「電気を測る」ことを社業とする私たちのビジネスフィールドが広がっています。一方で、その責任を引き受ける覚悟も必要ではないか、と考えました。自らが脱炭素のフロントランナーとして動くと覚悟を決めたことが、脱炭素に向けた様々な施策の実行につながったのだと思います。

 

その中で、まず一番初めに検討したのは、「再エネ由来の電力を使う」ことでした。火力発電ではなく水力発電由来の電力を購入するという選択です。これは中部電力のご紹介もあって始めたのですが、コストは多少高くても、環境負荷を下げる意義を優先すべきだと判断しました。

 

もちろん、社内で「割高だけど大丈夫か」という議論はありましたが、私たちの事業はBtoCではないため、これまで広告宣伝費をあまりかけてきていなかったんです。だからこそ、コストをかけてでも他社に先駆けて取り組み、その分、この取り組みを発信することによって、日置電機という会社を社会に知ってもらう良いきっかけにもなるはずだ、と前向きに舵を切れました。

 

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取締役専務 巣山様

──  ICP(インターナルカーボンプライシング)導入という決断も、社内では大きな変化だったと思います。背景にはどんな想いがあったのでしょうか?

 

巣山様今後、設備への投資判断には、COの削減コストを意識すべきだと考えました。 社員にもこの意識を浸透させる必要性を感じ、その方法として他社でも取り入れているICPに思い至りました。


現在、私たちは、ICP15,000円に設定し、社内で新たに導入する設備機器を選定する際などに、CO₂排出量削減効果を考慮して、費用対効果を検討するという運用を始めています。この基準は、以前よりオフセットのために購入している長野県の森林由来によるJ-クレジットの価格を基準にしました。これはまさに、CO1トン削減するには、それだけのコストがかっている」という現実的かつ実態に沿ったコストです。

 

これにより、例えば省エネ設備の投資に対する意思決定において、「一見割高に感じても、CO₂を削減できるなら価値があるのでは?」という議論が恒常的に生まれるきっかけになると期待しています。まだ導入から日が浅く、浸透はこれからですが、設備投資の場面などで「カーボンプライシングは考慮したのか?」と社内で問いかけていくことで、社内文化として根づかせていきたいです。

 

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第29回日経ニューオフィス賞にて「ニューオフィス推進賞(クリエイティブ・オフィス賞)」を受賞したHIOKIイノベーションセンター。
その屋根にも太陽光発電パネルを設置。

 

どちらが先というのではなく、「自助努力」と「投資」に並行して取り組む。企業理念や地域との繋がりを背景にした、“社会に価値を返すための投資“としてのオフセット

── 以前より、長野県の森林由来によるJ-クレジットの購入を続けていると伺いました。そもそもオフセットに取り組もうとした背景や、現状の取り組みについて教えてください。

 

巣山様はい。そもそも、私たちはカーボンニュートラルの実現に向けて、大きく二つの軸で取り組んでいます。一つは、自社で排出量そのものを削減していく自助努力の部分。もう一つは、どうしても削減しきれない分を、信頼できるクレジットなどで補完する投資によるオフセットです。

 

前者については、お伝えしたように、ソーラーカーポートの大規模設置をはじめ、できることを着実に進めています。その上で、後者のオフセットについても、単に埋め合わせるのではなく、社会に価値を返すための投資という考え方で取り組んできました。

 

その一環として、長野県の森林由来によるJ-クレジットに加えて非化石証書を継続して購入しています。いずれも、地域性やトレーサビリティの観点で信頼できることを大切にしています。単に排出量を相殺するのではなく、地域経済や環境保全に貢献する形でオフセットを実現したいと考えております。

 

また、グローバル展開している海外の販売子会社においても、オフセット対応を進めています。インドネシアのVCS認証森林クレジットを活用しており、これは、八十二銀行様や八十二Link Nagano様のご紹介で、バイウィル様から提案いただいたものです。

 

国内外問わず、私たちはオフセットを「排出の埋め合わせ」ではなく、どう社会に価値を還元するかという問いへの具体的なアクションと捉えています。今後も、自助努力を基本に据えつつ、日置電機らしいオフセットが叶うカーボンクレジットを見極め、投資するアクションによって、社会への責任を果たしていきたいと考えています。

 

──  まずは自助努力から、という企業が多い中で、御社はオフセットも同時に進めてこられました。この両輪での取り組みを進めてきた背景には、どのような理由があったのでしょうか? 

 

巣山様私たちが両輪で進めていこうと決めた背景には、企業理念と地域とのつながりがあります。HIOKIの理念をベースに、長野という自然豊かな土地に根ざした企業として、自然と共に生きるという姿勢を大切にしてきました。

 

始まりは1990年の本社移転の時でした。現在の長野県上田市に移転する際、工業団地として開発された土地に入居する企業として手を挙げたのですが、実はもともと小規模農家さんの水田を集めて造成された場所だったんです。結果、整備する過程で、相当数の森を切り開くことになり、自然破壊を行ってしまったという経緯がありました。そこで、移転の2年前に社員全員で約6万本の苗木を植樹しました。今では動物が集まる広大な森に成長し、この自然豊かな本社工場一帯を「HIOKIフォレストヒルズ」と呼んでいます。

 

この植樹事業で培った経験を活かし、1995年からは「ふるさとの森づくり」も開始し、長野県内で苗木の寄贈や植樹支援を継続的に実施しています。近年でも、県の「森林(もり)の里親」事業や「にぎやかな森プロジェクト」にも参加し、社員が森づくりに関わる機会を大切にしています。

 

こうした背景から、森林由来のクレジットへの投資は、当社の思想や活動の延長線上にあるもの、という位置付けでした。私たちはCO₂削減を数字だけの話ではなく、CO₂削減に対して投資するという意識を持って、意味のあるオフセットを実施していきたいのです。

自助努力による削減と、信頼できるクレジットによるオフセットの両方を、どちらが先・後というのではなくセットで取り組むことこそが、日置電機らしいスタンスだと考えています。これからもHIOKIフォレストヒルズや地域の森林活動と連動しながら、スコープ1の削減と地域創生の両立をめざしていきたいと思っています。

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HIOKIフォレストヒルズの森に囲まれる日置電機本社社屋

 

グローバルに事業を展開しているからこそグローバルに責任を果たす。国内に留まらず、海外拠点の脱炭素にも積極的に挑戦

── 今回は国内のみならず海外拠点も含めてオフセットに取り組まれていますが、なぜ最初から全拠点を対象にしようと考えたのでしょうか? 

 

巣山様:はい、繰り返しになって恐縮ですが、やはりこれもHIOKIの理念が根底にあると思っています。私たちは創業90周年を迎えた今年、“「測る」の先へ。”という「ビジョン2030」のもと「未来ニ先行セヨ。」という新たなタグラインを打ち出しました。これは、サステナビリティにおいても社員一人ひとりがフロントランナーとなり、環境課題に先んじて挑戦する企業でありたいという強い意志を込めたものです。

 

オフセットに対しても単なる制度対応にとどまらず、海外拠点がある私たちは、地球規模で事業を行う企業としての責任と誠実さを形にした取り組みを行うべきだと考えています。従って、国内だけでオフセットをするという考えはなく、海外の拠点も全て同じようにオフセットを考えることは、私たちにとって自然な流れでした。現在、スコープ2については、国内外すべての拠点の電力を非化石証書によって再生可能エネルギー由来に切り替えることで、実質的な排出ゼロを実現しています。

 

もちろん、海外拠点における取り組みはオフセットだけではありません。先ほどもお伝えした、森林保全や地域での植樹活動も広がっています。海外の販売子会社の社員が本社を訪れた際、まさに本社社員が取り組むHIOKIフォレストヒルズや地域の植樹活動に驚き、感動してくれることがよくあります。「自分たちの国でもやりたい」という声が上がり、現在では、中国、韓国、シンガポール、ドイツなどで植樹や苗木寄贈など活動が広がっていっています。

 

私たちの売上の約63%(2024年実績)は海外です。全てにおいて日本で達成をしただけでは終わらないということが、活動の意識の中に込められています。今後も非化石証書のさらなる活用を通じて、電力調達における環境価値の透明化を進めるとともに、自助努力と投資の両輪で実効性のあるカーボンニュートラルを継続的に追求していきたいと考えています。

 

──そうした取り組みを進めることで、海外の取引先やステークホルダーからの見られ方に何か変化はありました

 

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巣山様:直接的に「こう変わった」といったエピソードは、まだそれほど多くありません。ですが、本社に海外のお客様や関係者が訪れた際、HIOKIフォレストヒルズの森を案内したり、これまでの取り組みをお話したりすると、とても強く共感いただけることが多いです。「そういう会社なら、応援したい」「日置電機の製品を使いたい」と言っていただくこともあり、やはり私たちの環境経営の姿勢に共鳴してくださる方が増えている実感はあります。

 

社外への情報発信がすぐに数字や成果に直結するわけではないかもしれませんが、「続けること」「発信し続けること」自体が信頼につながると感じています。これからますます、そうした評価が形になっていくと信じていますし、やり続けることが何より大事だと思っています。

 

海外拠点のオフセットに関するルールの難解さや複雑さ。的確なアドバイスをくれる伴走者が必要だった

──カーボンクレジットを提供するプロバイダは他にも複数ある中で、今回バイウィルをパートナーとして選んでいただいた理由について、経緯も含めてお聞かせいただけますか

 

水出様:私たちとしても、今回が初めて、本格的に国内外の環境価値取引に取り組むフェーズだったこともあり、パートナー選びには非常に慎重になっていました。当初は数社に見積もりをお願いしたのですが、正直なところ、スピード感が合わなかったり、取引規模の観点から対応が難しいといった状況に直面したりと、なかなかマッチするパートナーが見つかりませんでした。

 

そうした中、バイウィル様は、私たちの排出量規模に合った柔軟なご提案をくださり、少量からでも丁寧かつスピーディーに対応してくださいました。初めての取り組みということで不安も多かったのですが、非化石証書や海外制度に関する実務レベルでの説明や、的確なアドバイスをいただけたことも、非常に心強かったですね。

特に海外については、制度への理解や、変化の激しいルールへの対応が難しいところです。加えて、クレジットの選定においても、信頼性が高く、自分たちのスタンスに合うストーリーがきちんとあるクレジットを、数多くある中から情報がない中で探し当てることは困難でした。バイウィル様が、日置電機らしいクレジットはどうあるべきなのか、ということを丁寧にヒアリングしてくださるところから、拠点ごとにどのクレジットをどのくらい購入すべきなのかアドバイスをいただいた上で、実際にVCS認証の森林由来のクレジットの調達までを行ってくださいました。

 

私たちにとっては、単なる「取引相手」ではなく、一緒に環境経営を進めていける伴走パートナーのような存在が必要でした。そういった意味で、バイウィル様の姿勢にはとても共感できましたし、安心感がありました。

 

さらに、弊社のメインバンクである八十二銀行様および八十二Link Nagano様からのご紹介だったという点も、選定の大きな後押しになりました。信頼している金融機関からのご紹介であったことは、何よりの安心材料だったと思います。

 

現在では、スコープ12の国内外オフセット全般にわたり、バイウィル様にご支援いただいており、2025年のカーボンニュートラル実現に向けて欠かせないパートナーとなっています。今後も信頼関係を大切にしながら、一緒に取り組んでいきたいと考えています。

 

 

100周年を見据えて。「測る」の先で社会全体の脱炭素に貢献していくために

──  ありがとうございます。最後に、今後のカーボンニュートラル達成に向けた課題や、これから特に注力していきたい点について教えてください。 

 

巣山様:2025年に掲げているスコープ12のカーボンニュートラルについては、ようやくゴールが見えてきたかなという感覚があります。再エネの導入や省エネ設備、EV化、それに非化石証書やJ-クレジットの活用など、具体的な施策をこれまで一つひとつ着実に積み重ねてきました。とはいえ、現時点でもいくつかの課題は感じています。


ひとつは、グローバルに事業を展開する中での制度対応や情報収集の難しさです。国ごとの電力証書やカーボンクレジットなどに関するルールが異なるため、信頼性の高い環境価値を選び、運用していくには、今後も細かなリサーチや慎重な判断が欠かせません。

 

それから、スコープ3も含めたバリューチェーン全体での排出量の把握と管理の高度化も、これから本格的に取り組むべき重要なテーマだと考えています。そのためには、社内の各部門がより主体的に環境対応に関わっていけるように、意識の醸成と部門間の連携強化が欠かせないと思っています。とくに、技術や調達といった現場に近い領域では、日常業務の中にサステナビリティの視点を織り込むことが大事だと考えていますので、導入したICPをうまく運用・活用していきたいと思っています。

 

今後の挑戦としては、スコープ3への対応とともに、地域創生との両立を意識した活動を、カーボンニュートラルの実現に向けてより一層注力していきたいと考えています。これまでも地域の環境保全を意識してきたように、環境への貢献と地域経済の活性化を同時に実現する取り組みを、国内外問わず、さらに広げていきたいと思っています。

 

そして、私たちが掲げる「ビジョン2030」の“「測る」の先へ。”という言葉のとおり、日置電機がカーボンニュートラルを実現するだけでなく、計測技術を通じて社会全体の脱炭素化を支えていくことが、私たちの大きな使命だと捉えています。創業90周年を迎える今年、「未来ニ先行セヨ。」というタグラインを新たに掲げましたが、この言葉に込めた通り、これからも自分たち自身が未来に挑み続ける存在でありたいと強く思っています。

 

 

───本日はありがとうございました。

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)