概要

ジャパンラグビートップリーグ所属のクボタスピアーズ様。今年、「ジャパンラグビートップリーグカップ」というカップ戦にて、強豪がひしめき合う中準優勝を果たした。しかしその背景には、今季、選手・スタッフに大きな人員の入れ替わりがあったこともあり、チームの組織文化に課題を抱えているという事情もあった。弊社の「組織文化調査」にてチームの現状を可視化し、その結果をもとにチームの目指す姿や課題について話し合って頂く「フィードバック研修」をご支援させて頂いた。

組織文化調査を調査で終わらせないための『「組織文化変革」の進め方』資料のダウンロードはこちら

 

ご提供サービス

組織文化調査、フィードバック研修

 

チーム全員で厳しいことも言い合う「一体感を持った勝てるチーム」へ

――――――弊社の組織文化調査を導入するまでの背景、きっかけについてお聞かせください。

岩上篤史氏(以下、岩上氏):チームの文化として「真面目」「優しい」「仲が良い」といったものが根付いていました。チームの総合力が問われるラグビーでは、お互いに厳しいことも言い合い、高めあう関係性でいなければ、結果を残していくことができません。これまでは、チームメイトとの関係性に波風を立てることを避ける傾向があり、お互いが自身の主張を積極的に伝える双方向のコミュニケーションが不十分という問題意識を感じていました。

前川泰慶氏(以下、前川氏):また、目標達成のためチームのベクトルを合わせ、ヘッドコーチの考え方などをチームの隅々まで浸透させる必要がある中で、出身国や言語が異なる多様な背景を持った選手やスタッフがいたためかなり苦労をしていました。

そういった中で、チームの組織文化を変え、「一体感を持った勝てるチーム」にしていこうとチーム全体で決まりました。

改善や浸透を進めていく上で自分たちでも様々な施策を打ちましたが、客観的視点を持った第三者に、内部にいると気が付かない問題点や課題などチームの現状を評価してもらうことが必要であると考えました。

現状を把握する調査だけでは変革には繋がらないと思っていたので、チームを構成する選手やスタッフの意識面の共有、「今後何をやっていかなければならないのか」を話し合う場を設ける必要もあり、組織コンサルティングのプロであるフォワード(現:バイウィル)さんの「組織文化調査」と「フィードバック研修」の導入を決めました。

チームの現状の“見える化”を経た「本音の話し合い」によって組織文化に変化が起こり始める

――――――実際に調査結果を見てどのように感じましたか?

前川氏:チームの組織文化に対する好意度で「好き」と回答した人が9割を超えていたことやスタッフや監督に対しての信頼が大きかった点は非常に良かったです。その反面、組織文化を表すキーワードの中で「馴れ合いがある」という項目がありましたが、その数値が高かったです。つまり、“本来言わなければならないことを言えていない“チーム環境というのは私だけが感じていたのではなく、チーム全体でそういった認識があったのだろうなと感じました。

またチームスローガンである「One」の浸透度合いについても調査したのですが、ポジションや国籍など属性によって捉え方が異なっていたことにも気づくことができました。

*「One」は今シーズンが始まる前にチーム全体で話し合って決めた4つの項目から成り立つチームスローガン。「1位になる、優勝する」「一体感を持つ、結束する」「一つ殻を破る」「一つ一つ前へ進む」という意味が込められている。

 

――――――調査結果をもとに行ったフィードバック研修はいかがでしたでしょうか?

岩上氏:今回、チーム関係者の考えや想いを表出させ、チームがより良い方向に進むために「自分たちは何ができるのか・何をするのか」を本気で考える機会を持てたことはとてもプラスになりました。

チームの現状を数値として可視化し、自分たちの強みや弱み・課題が明確になったことで、何もない状態で議論するよりも活発に進められたと感じています。議論の中では、具体的には下記のような課題を共通認識として擦り合わせることができました。

「ミスに対して、怒るだけのことが多く、改善策について話し合う機会が少ない」
「コーチやスタッフに頼りすぎている部分がある」
「フィードバック以前に外国人選手と日本人選手同士のコミュニケーション量が少ない」

前川氏:日頃からリーダーシップのある選手だけでなく、今まであまり発言がなかった選手やスタッフが積極的に参加して的確なコメントを残してくれたのは、あの場があったからこそ出てきた意見だろうなと強く感じました。

岩上氏:一方で普段から「思っていることをその場で言えていない」ということを痛感しました。想いや感情を埋もれさせずに風通しの良いチーム環境を作っていくためには、「顔を合わせて話し合う」場づくりが重要ということに改めて気付きました。

 

研修の様子

 

――――――研修後、チーム内にどのような変化が現れましたか?

前川氏:コーチ・スタッフの指示を聞いてから実行するのではなく、自ら行動を起こそうとしていることを感じます。リアクションからアクションに変わりましたね。
フィードバック研修で決めたアクションとして、

「練習後にトークタイムを設け、自分たちのトレーニング映像をもとにディスカッションをする」
「月の目標を作成し、クラブハウス内に貼る」

などが挙がってきました。

実際に、選手同士の話し合いの時間はかなり増えましたね。決めたアクションを実行するために、こちらがそのような場を設けることなくても自分たちで考えてミーティングの時間を設けたりするようになりました。オンザピッチのプレー面の話だけではなく、オフザピッチのチームとしての行動に関する話もするようになりました。

岩上氏:やはり、フィードバック研修の際に、ポジションごとに自分たちのやるべきことが明確になったことやお互いの想いを共有できたことがチームに変化を与えてくれたと思います。

5月に第一回目の調査を取り、カップ戦を挟み、第二回目の調査を8月に実施したのですが、第二回目の調査結果では「馴れ合いのある」という数値が下がりました。話し合いの頻度が増えてきただけでなく、その内容についても、互いに厳しいことを言い合えてきていると感じています。

 

クボタスピアーズの主将を務める立川理道選手クボタスピアーズの主将を務める立川理道選手(写真中央)

文化が変われば行動が変わり、行動が変われば結果も変わる

――――――今年はカップ戦準優勝という結果を残しましたが、ラグビーのプレー面でチームの変化が表れている感覚はありますか?

前川氏:カップ戦準決勝の東芝さんとの試合での出来事なのですが、後半のラスト、7点差でリードしていた際にうちの選手が2人反則退場になってしまったんですね。ラグビーは1人減るだけでもかなりゲームを左右してしまう中、2人も少なくなってしまったんです。

その際に、ヘッドコーチの指示を待つのではなく、自分たちで集まって話し合って役割を明確にしていました。おかげで東芝さんボールのスクラムを無事防ぐことができました。

急なアクシデントに見舞われても選手たちが自分たちで考えて話し合い、対処するというのは簡単なことではありません。

一見ラグビーとは関係のないようなことかもしれませんが、本音で話し合い、小さな変化を積み重ねていくことで、準優勝というチーム初の快挙に繋がったと思います。

 

ラグビー日本代表でも活躍するピーター・ラブスカフニ選手ラグビー日本代表でも活躍するピーター・ラブスカフニ選手(写真中央)

――――――さらに上を目指すために感じている課題などはありますか?

岩上氏:カップ戦準優勝できたのはチームとして大きなことでしたし、この先も残ることだと思います。ですが、ここで慢心してしまうのは今後の成長にもマイナスですし、大事なのは日本代表選手も帰ってきた年明けのトップリーグになります。総当たり戦ということでチームの総合力が問われますので、選手だけでなく、スタッフ含めチームの一体感をより高めることが重要です。

そのためにチーム全体としてお互いの想いの共有、個人個人がチームにどんな価値を発揮できるのか話し合って突き詰めていきたいと思います。

――――――本日はありがとうございました。

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)

 

「組織文化変革」の進め方

 

*「組織文化調査(Go Forward Survey)」に関わる目的、規模・回数等お客様の状況に合わせて設計させて頂きます。
 詳細はお問い合わせください>>お問い合わせ

*「組織文化調査」に関するサービス内容はこちら>>組織文化調査 Go Forward Survey