概要

従来実施していた従業員満足度調査に代替する形で「組織文化調査(Go Forward Survey」を導入。その調査結果を基に、社員の「期待と現実のギャップ」を埋める形で行動規範(バリュー)の策定に活用。経営理念・行動規範(バリュー)策定後は、人事評価制度や表彰制度への組み込み、社内ワークショップ、社内Webサイト(イントラ)での情報発信など、幅広く浸透施策を進めている。
※2019年4月1日、三井住友アセットマネジメント株式会社と大和住銀投信投資顧問株式会社が合併し、「三井住友DSアセットマネジメント株式会社」へ。

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組織文化調査 Go Forward Survey

「従業員満足度調査」ではなく「組織文化調査」を選んだ理由とは?

───フォワード(現:バイウィル)の組織文化調査を導入頂いたきっかけについてお聞かせください。


以前より、いわゆる「従業員満足度調査」は実施していたのですが、それに代わる調査はないかと考えていました。どういうことかと言うと、一般的な「従業員満足度調査」は、「会社が社員に何かをやってくれる」「社員が会社に何かをやってもらう」という会社が社員の期待を満たす努力をするのは当然といった暗黙の前提があり、ともすれば“社員の不満のはけ口”になってしまう側面が強いということが気になっていたのです。

そこで出会ったのがフォワード(現:バイウィル)さんの組織文化調査です。「組織文化」とは、社員1人1人が組織の一員として皆で築き上げていくものです。「会社が何かをしてくれる」ではなく「自分が何をするか」という当事者意識を持ってほしい、会社と社員を双方向の関係にしていきたい、と考えていた私たちの状況にフィットするものだと捉え、導入を決めました。世の中にあまりない切り口の組織調査であり、金額的に導入しやすかったことも実施の後押しになりました。

三井住友DSアセットマネジメント株式会社 コミュニケーション推進部 副部長 丸山様三井住友DSアセットマネジメント株式会社 コミュニケーション推進部 副部長 丸山様

社員の「期待と現状のギャップ」から行動規範(バリュー)を策定。
行動規範(バリュー)の実践が、社員自らが理想の組織を築き上げることに繋がる

───組織文化調査の実施は、どのような面でお役に立ちましたでしょうか。


そもそも組織の課題として、「社員のエンゲージメントが低い」「会社としての一体感に欠ける」ということを感じていました。事業や業務の特性として、製造業のバリューチェーンのような“社内の後工程がお客様”というつながり意識が希薄で、個々人の業務が比較的独立している背景もそのような課題につながっていると思います。実際の調査結果でもほぼ想定通りの結果が出たのですが、組織文化の現状が定量的に「見える化」されたことによって、その課題や危機感、社員を束ねる「軸」を明確にしていかなければならないということを共通認識にできたことは大きな意味があったと考えています。

───見えてきた課題を、どのように解決していったのでしょうか。


組織文化調査の実施を決めた直後に合併することが決まり、新会社の経営理念をゼロからつくることになりました。組織文化調査の結果は、「行動規範(バリュー)」を策定し、浸透させていくことに大いに活用させてもらいました。

具体的には、800名を超える社員が回答した組織文化調査の結果の中から、「社員が期待する組織文化」と「現状感じている組織文化」のギャップが大きいところを7つのキーワードとしてピックアップし、それとの関連性が高い5つの要素を最終的に「行動規範(バリュー)」としました。

行動規範と組織文化調査のキーワード(三井住友DSアセットマネジメント様ご提供資料)▲行動規範と組織文化調査のキーワード(三井住友DSアセットマネジメント様ご提供資料)


社員の「期待と現状のギャップ」が「行動規範(バリュー)」と上手く紐づいたことで、社員1人1人がその行動規範(バリュー)を実践し続けることが、「期待と現状のギャップ」を埋め、みんなが理想とする会社像・組織文化を自ら創り上げていくことになるんだよ、と言えるようになりました。

───調査結果の活用法として、非常に納得感と実効性が高い取り組みです。その他にも調査がお役に立ったことはありますでしょうか。


元々この調査は合併が決まる前に実施する予定ではいましたが、ちょうどタイミングが合ったことで、合併前のそれぞれの会社で実施し、結果を共有することにしました。新会社としてスタートを切る前にお互いの特徴を理解し合うことができたことはとても有意義だったと思います。同じ業界ですので、組織文化という意味でそれほど大きな違いはないかと思っていましたが、意外と異なっている部分がありました。合併して1つの軸を作っていく上で、きちんと両社社員の意識を基にできたことも良かったと思います。

人事評価、表彰、81回のワークショップ実施。形骸化させないための徹底した浸透施策の実践。

───弊社も行動規範(バリュー)に関するお手伝いをさせて頂くことは多いですが、ある意味「策定」より重要と言えるのが「浸透」です。策定した行動規範(バリュー)をどのように浸透させているのでしょうか。


実際のところ、会社の理念や行動規範を“知らない・頭に入ってこない”という状況はよくあることかもしれません。組織文化調査の結果、すなわち多くの社員の声を反映させてつくったわけですので、絶対にそのような状態にはしたくなかった。社員の求心力となる理念・行動規範として機能させたいと思い、様々な取り組みを行っています。


行動規範キーワードをポスターにし社内で掲載(三井住友DSアセットマネジメント様ご提供資料)▲行動規範キーワードをポスターにし社内で掲載(三井住友DSアセットマネジメント様ご提供資料)

まず、この行動規範(バリュー)を人事評価制度に組み込みました。割合としては、行動評価の15%が行動規範(バリュー)に関するものという設計になっています。それを受けて、社員向けのワークショップを実施しました。ワークショップでは、「行動規範は社員みんなが求めているものである」ということをしっかり伝え、“行動規範(バリュー)を理解し当事者として受け止める”というスタートラインに立ってもらうことと、この行動規範(バリュー)をどのように日々の業務のなかで実践するかを考えるきっかけとすることを意識しています。ちなみに、ワークショップ受講後に行ったアンケート調査では、行動規範を含む経営理念に共感する社員の割合は受講前の8%から受講後には86%に大幅に上昇しました。このワークショップは約1か月半かけて私を含む3名が講師となり計81回実施しましたが、苦労した甲斐があったと思います。

他には、2019年4月の合併にあわせて社内Webサイト(イントラ)をつくり、情報発信の頻度を高めています。具体的なコンテンツとしては、新任管理職層17名が、それぞれ自分が最も重要だと思う行動規範を1つ選び、「私にとっての●●(行動規範の1つ)とは」を語る動画を掲載したり、部門統括役員に自身が最も大切にする行動規範についてインタビューのなかで語ってもらったりしています。毎週月曜日には新着情報をメールで配信するなど、閲覧率を高める工夫も取り入れています。

また、これは昨年度からですが、表彰制度にも行動規範(バリュー)を反映させています。行動規範(バリュー)の実践によって成果をあげた取り組みを、1次審査:社員全員からの投票、2次審査:役員向けプレゼンというプロセスを経て表彰するようにしました。受賞を目指してエントリーする部署の社員はもちろん、投票する社員にとっても、行動規範(バリュー)について考えてもらう良い機会になっていると思います。

社員向けのワークショップの様子    社内Webサイト(イントラ)”Be Active”
   ▲社員向けのワークショップの様子                   ▲社内Webサイト(イントラ)”Be Active”

───今後はどのようなことをお考えでしょうか。

今のところ取り組みは順調に進んでいますが、組織文化調査は定期的に実施してPDCAを回していきたいと考えています。5つある行動規範の中でも、効果が出やすいもの出にくいものなどがきっと出てくると思うので、その結果を基に、何かの要素に特化した打ち手の立案なども検討していきたいと思います。

───本日はありがとうございました。

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)

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