インターン生の日下夏輝です。
私は現在ビジネススクール(MBA)に通いながらフォワードでインターンをしています。

このブログでは、ビジネススクールで学んだことを、フォワード内に蓄積されたナレッジと合わせてご紹介していきたいと思います。

企業理念の社内浸透を実現したサントリー

今回は国内で73社、世界で285社ものグループ会社(2021年12月31日時点)を抱えながらも、グループ全体における企業理念の社内浸透を実現しているサントリー社から、社内浸透のポイントを分析していきます。

サントリーの従業員意識調査

サントリーグループの2021年の従業員意識調査によると、77.9%の従業員が仕事へのやりがいを感じており、66.6%が仕事への満足を感じています。また、この従業員意識調査は海外でも実施されており、2020年の調査では約8割がサントリー社で働くことに誇りを持っていると回答しています。

なぜサントリー社は従業員のやりがいや満足感がこれほど高いのでしょうか。その背景には企業理念の社内浸透施策が大きく貢献していると私は考えています。

(参照)
「従業員と響きあう ダイバーシティ経営 人材育成」
https://www.suntory.co.jp/company/csr/activity/diversity/education/

幅広い理念浸透施策

サントリー社では、コーポレートサイトに企業理念を掲載すること以外にも社内報や動画、社内アワード、教育プログラムと幅広く浸透施策を展開しています。

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■社内報(冊子・Web)

サントリー社では創刊から88年続く社内報『まど』によって、創業当時から受け継がれてきた「やってみなはれ」などの価値観を社員へと伝えています。この社内報が社員の理念体系認知のきっかけとなり、定期的に発信されることで深い理解へとつながることも期待できます。

(参照)
「社内報ナビ 読ませることでDNAを伝えたい!(サントリーホールディングス株式会社)」
https://shanaiho-navi.jp/archives/9637/

 

■動画
サントリーグループの約束として掲げられている「水と生きる」はストーリー性のある動画として社内外に発信されています。文字で伝えるのみではなく、ストーリー性のあるわかりやすい動画として伝えることで、理解が深まり、共感へと至ることが期待できます。

(参照)
「水と生きるの動画一覧」
https://www.suntory.co.jp/enjoy/movie/l/561.html

 

■サントリー大学
サントリー社の特徴的な人材育成プログラムである『サントリー大学』は、創業当初から受け継がれてきた「やってみなはれ」「利益三分主義」を理解、浸透させるための施策として展開されています。従業員にとっては、企業理念に対する理解が深まるだけでなく、『サントリー大学』という名称から、自分たちに対する教育や理念浸透の本気度合いが伝わるでしょう。



■有言実行やってみなはれ大賞
2015年に創設された『有限実行やってみなはれ大賞』は、サントリーグループの全従業員を対象にしている社内アワードです。重要な価値観の一つである「やってみなはれ」を実践したチームを表彰します。「やってみなはれ」というワードをそのまま社内アワードの名称に活用することで、いかにこの価値観を重視しているかが伝わってきます。

会社としての価値観にマッチした行動をとることが評価されるために、会社の価値観と従業員の行動を重ね合わせ、自分ごと化することにつながり、コミットメントや自発的な行動へとつなげることが期待できます。

 

■体験型プログラム
入社時研修や新任マネジャー研修など、各種の階層別プログラム内に、創業の精神を学ぶセッションを組み込んでいます。具体的には、新任マネジャー研修内にて、創業家との対話により経営目線での社会的意義を学ぶとともに、サントリー社の歴史をベースとするワークショップを通して、自分の言葉で創業の精神を語るプログラムを実施しています。

新入社員向けには、山崎蒸溜所や高殿苑、つぼみ保育園、どうみょうじ高殿苑、天然水の森などを訪れ、サントリーグループのVALUEを学ぶプログラムを2日間通して体感する研修を実施しているとのことです。

このように五感を使って実際に体験することは、従業員にとって共感や自分ごと化の大きなきっかけになるのではないでしょうか。

(参照)
「従業員と響きあう ダイバーシティ経営 人材育成」
https://www.suntory.co.jp/company/csr/activity/diversity/education/

まとめ

ここまで見てきたように、サントリー社の理念浸透施策は、単なる複数施策の展開ではありません。複数の社内浸透施策がそれぞれ、認知や理解、共感、コミットメントに作用し、複合的に従業員の自分ごと化を促し、自発的な行動へとつなげているのです。

企業理念やMVV(ミッション・ビジョン・バリュー)の社内浸透施策の立案や検討を行う際には、一度下記のような点を意識してみると良いかもしれません。

  • その施策が浸透プロセスのどの部分に作用するのか?
  • 浸透施策全体を俯瞰してみたときに、どこか特定のプロセスに施策が偏っていないか?

 

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