【金融機関のためのJ-クレジット実践コラム:第5回】『エネルギー業』『土木・建設業』に刺さるクレジット提案のポイント
目次
前回は、中小企業の経営者に「実利」で語る3つの切り口をお伝えしました。
今回はさらに一歩踏み込み、ターゲットを『エネルギー業』と『土木・建設業』の2業種に絞り、現場で使えるアプローチ方法を解説します。
同じJ-クレジットでも、業種によって響く課題は全く異なります。
そして何より重要なのは、J-クレジットの話題をフックにすることで、皆さまの本来のミッションである「設備資金の融資」や「本業支援」のニーズを自然に引き出せるということです。 明日の訪問先を思い浮かべながら、トークの引き出しを増やしていただければと思います
前回コラムはこちら【金融機関のためのJ-クレジット実践コラム:第4回】「うちは関係ない」という中小企業の社長に響く、J-クレジット3つの切り口~「脱炭素」ではなく「実利」で話す~
エネルギー業へのアプローチ:「オフセット商品」のニーズと地域貢献の共創
【背景と課題】
バイウィルのこれまでの販売実績の中でも、J-クレジットの購入が最も進んでいるのがエネルギー業界です。その背景にあるのが「オフセットガス」「オフセット軽油」のニーズ。ガスや軽油の使用時に排出されるCO₂分のクレジットを付帯して販売する商品を作りたい、という声がエネルギー会社から上がっています。
さらに一歩踏み込むと、「どうせ購入するなら地元で創出されたクレジットを使いたい」という声も多く聞かれます。単なる調達ではなく、地域とのつながりを求めている点がポイントです。
【金融機関にとっての提案メリット】
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顧客の商品ニーズに直結:「オフセットガス・軽油」といった環境価値付き商品の造成を直接後押しできる。
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「地域貢献」の共創:地元創出のクレジットを紹介することで、顧客の排出量削減に貢献しつつ、「エネルギー会社・地域の森林保有者・金融機関」の三者で良い関係(共創の構図)が築ける。
📌現場で使える!提案トーク例
「〇〇さん、CO₂排出量を減らしたい企業からオフセットガスやオフセット軽油のような商品化が求められています。 もしよろしければ、御社でも商品化してみませんか? その際には、是非、地元で創出されたJ-クレジットを使ってください。 お客様のCO₂排出量削減はもちろん、地元への貢献をPRできる、という切り口でご提案できると思います。」
【参考事例】津山ガス株式会社様
地元の森林J-クレジットを活用した「オフセットガス」を展開し、お客様への環境価値提供と地域貢献を両立されている事例です。
(インタビュー記事はこちら:https://www.bywill.co.jp/works/tsuyama-gas )
土木・建設業へのアプローチ:入札の「加点」と、選ばれる企業への転換
【背景と課題】
各地域の「J-クレジット購入企業一覧」を見ると、必ずといっていいほど名前が挙がる土木・建設業。公共工事への依存度が高い建設業は、国や自治体の動向に極めて敏感です。
近年、公共工事の入札やプロポーザルにおいて、環境への配慮(カーボンニュートラルへの取り組み)が加点評価されるケースが急増しており、環境への取り組み実績が競争力に直結します。数点差で数千万円の案件の勝敗が決まる建設業にとって、これは死活問題です。
中でも森林クレジットは、「地元の山を守る」というストーリーが事業(公共工事)と直結しやすく、PR素材として使いやすい点が特徴。地元密着感を出したい建設業者のニーズと相性が良いと言えます。
【金融機関にとっての提案メリット】
- 明確な「実利」で反応が良い:入札加点対策という経営直結の課題に応えるため、話が早く社長や担当者の関心を引きやすい。
- 本業支援(受注力強化)に直結:ISO14001等に比べ、比較的短期間かつ安価(低コスト・即日対応が可能)に「国が認めた環境貢献の実績」を作れ、他社との差別化に繋がる非常に喜ばれる提案になる。
- ブランドイメージの強化:森林クレジットを活用することで、建設業者が重視する「地元密着」の姿勢を強力にアピールできる。
📌 現場で使える!提案トーク例
「〇〇建設さん、△△市の入札要件を見ていると、環境項目が加点される案件が目に見えて増えていますよね。 1点の差で受注を逃さないためにも、今のうちに『J-クレジット』を購入して環境貢献の実績として使ってみませんか? 地元の森林由来のものを選べば、『地元の森を守る・地元に密着した企業』としての強力なアピールになりますよ。 自治体へのウケも非常に良い施策です。」
2業種に共通する、地域金融機関だけの「入口」
エネルギー業と土木・建設業。抱える課題は違えど、響くポイントは共通しています。どちらも「地元」が鍵だという点です。
地元の山(創出者)と地元の企業(購入者)を直接つなぎ、環境価値と資金を地域内で循環させる。これは、地域社会と長年深いネットワークを築いてきた金融機関だからこそリアリティを持って語れる、強みを最大限に活かした提案といえます。
そしてクレジット提案は、単発の商品販売で終わらせるものではありません。本業支援の入口——ドアノックツールとして機能します。
- 土木・建設業:「入札加点にクレジットを」という話から、環境配慮型設備の導入や自社施設の建て替えといった設備資金のニーズを引き出せます。
- エネルギー業:「オフセット商品を作りませんか」という話から、取引先の紹介やビジネスマッチング、新規事業に向けた事業性評価へと会話が発展します。
📌 本業につなげる、ひと言
「環境の取り組みを対外的に打ち出していくとなると、設備側の更新も視野に入ってきますよね。そのあたりの資金のご相談も、あわせて承れます。」
「脱炭素」と正面から切り出すと口を閉ざす経営者も、「入札」「新商品」「地元への貢献」という入口なら、自社のリアルな課題を話してくれます。そこから自然な形で、皆さまの本来の強みが活きる『本業支援』へとつなげていただけるはずです。
この回のポイント
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- エネルギー業:「オフセットガス・オフセット軽油」の商品化ニーズに直結。 地元創出クレジットを絡めれば、顧客と共に地域貢献する共創ストーリーが作れる。
- 土木・建設業:入札加点という明確な実利に直結。 森林クレジットは事業とストーリーの相性が良く、地元密着PRの素材になる。
- 共通の強み:どちらの業種も、「地元で創出されたクレジット」を絡めることで、地域金融機関ならではの提案力が発揮できる。
