概要

不動産の売買・賃貸・仲介および空き家活用事業を展開する株式会社ジェクトワン様。今回は、同社のビジョン策定やコーポレートブランドのコンセプト策定、そして注力事業の空き家活用サービス「アキサポ」のブランド構築のご支援を実施した。

ご提供サービス

コーポレートブランド

  • ビジョン策定
  • ブランドコンセプト策定
  • キービジュアル制作
  • ブランドガイドライン制作

サービスブランド(アキサポ)

  • ブランドコンセプト策定
  • ブランドロードマップ策定
  • サービスロゴマーク制作
  • ブランドガイドライン制作
  • CM制作(アドバイザリー)

戦略からクリエイティブ制作まで、一貫性と統一感のあるブランド構築を目指す

─────まず、今回のプロジェクトを実施しようと考えた背景を教えてください。

金丸様:きっかけは、中期経営計画策定の時にジェクトワンブランド(コーポレートブランド)の確立と、空き家活用サービス「アキサポ」の認知拡大が課題として挙がったことです。ブランドが確立されていない状態の中で、それぞれをどう見せていくのがベストかを改めて整理したいという考えからでした。また、当社は創業当初から社員の個性を尊重する文化が強く根付いているのですが、一方で、クリエイティブにおいても個人の裁量に任せすぎていて一貫性が保たれていないことにも課題を感じていました。そこで、そういったものにもしっかり統一感をもたせられるルールが必要だと考えていました。

 

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経営企画部 部長 ゼネラルマネージャー 金丸 郁代様

 

布川様:当社が展開する空き家事業「アキサポ」は、7年前に始まり、空き家に関するお困りごとを一括で解決できるという特徴を持つサービスです。しかしながら、「アキサポ」はまだ十分にブランド化できておらず、社員一人ひとりが持つ「アキサポ」のイメージや認識にもズレが生じていました。そのため、「アキサポってどういうものだったか」をコンセプトとして明確に言語化する必要性を感じ、ブランドの土台を整えることにしました。

 

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経営企画部 経営ユニット シニアマネージャー 布川 朋美 様

─────ご支援のパートナーとして、なぜ弊社を選んでいただいたのでしょうか?

布川様:そうですね。何社かブランディングに強そうな企業様を選んでいて、その中でバイウィルさんに出会ったのですが、大手企業さんへのご支援実績が豊富な点やコンペの内容が素晴らしかった点はもちろん、一番の決め手は、当社にしっかり寄り添い、並走してご支援してくれると思えた点でした。会社の状況や方針が変わったとしても、その状況に合わせて柔軟かつ何でもご対応いただけるかどうかは大事なポイントだと考えていて、その点、バイウィルさんは戦略策定からインナーブランディング・アウターブランディングまで幅広くサービスを提供していて、とてもピッタリに感じました。

金丸様:また、我々はすごく熱い想いは持っているものの、それを言語化することに苦手意識がありました。バイウィルさんはその点、その想いをちゃんと拾って適切に言語化してくれたり、話の方向性が大きくそれて迷子になってしまいそうな場面でも、議論を的確に軌道修正してくれたりといった面で強みがあると感じました。加えて、クライアントファーストになりすぎない点も魅力でした。ご提案時から、我々の要望にただ答えるのではなく、より良い方法があれば違う選択肢を提案してくれるなど、他社とは違う信頼感を持てたことからバイウィルさんにご依頼したいと思いました。

 

ジェクトワン様_ご支援の全体像ご支援の全体像
(コーポレートブランドとサービスブランド(アキサポ)、それぞれのブランディングを実施)

中期経営計画に基づき、「いつ、どのような状態を目指すのか」を明確にしたコーポレートビジョンを策定

─────まずビジョンの策定を実施しましたが、従来のビジョンから刷新を考えた理由を教えてください。

布川様:従来のビジョンは、一見すると楽しそうな内容ではあったのですが、少し具体性を欠き、不明瞭なところが気になっていました。せっかく定めたビジョンにも関わらず、「具体的に何を目指しているのかわかりにくい」「どこを目指していけばよいかわからない」という声も社員からは寄せられており、今一度見直すことに決めました。

─────ビジョンを策定する過程で印象に残っていることはありますか?

金丸様ビジョンに限った話ではないのですが、中期経営計画に沿ったブランディングやマーケティングを行うというバイウィルさんの姿勢が、話の進め方や資料など、あらゆる場面で反映されていたのが印象的でした。「そもそもビジョンは何のために必要なのか?利益に繋げるためですよね?その骨子をしっかり持ってください」などといった話し方や、「この話は3年後の話です」「この話は10年後の話です」といったように、時間軸を揃え、私たちの目線が合った状態で話を進めていただきました。社長は5年後の話をしているのに周りは10年後の話だと思っていたら、見ている方向は一緒でも、認識に大きなズレが生まれてしまいます。そういう混乱がなく、常に整理いただきながらディスカッションができてとてもわかりやすかったです。

布川様:ビジョンの策定において、私たちは自社の強みや提供する価値、時間感などを含め、多くの要素を盛り込みたいと考えていました。ただし、それらを一言で短く表現しようとすると抽象度が高くなり、人によって伝わる内容に差が出てしまいます。そこで、ビジョンをキャッチコピーとボディコピーに分けて掲げることにしました。キャッチコピーで端的に目指す姿を表し、ボディコピーで具体的な説明を加えることで、より伝わりやすいビジョンにできたと思います。

※新たに策定したコーポレートビジョンは下記Webサイトからご覧いただけます
https://jectone.jp/jectvision/

サービスに対する社内メンバーの認識を統一し、ブランドの基盤となるコンセプト策定~ロゴ制作

─────続いて、貴社サービス「アキサポ」のブランディングについて伺います。まず、「アキサポ」がどんなサービスなのか教えていただけますか?

金丸様アキサポは、そもそも一般的に空き家問題を解決する手段が「売却」と「解体」しか知られていなかった状態に対して、空き家を手放さずに活用できるサービス(=空き家活用サービス)として、7年前に立ち上げたサービスです。今では、空き家の活用だけでなく、空き家を売りたい人にも解体したい人に対しても、「空き家に関する相談は全てアキサポにお任せください」という形で、サービスの幅を広げています。

 

─────「アキサポ」のブランドコンセプト策定の過程で印象に残っていることはありますか?

布川様:まず、市場調査をしっかり行ったことと、バイウィルさんのマーケティングセグメンテーション「Flower」に当てはめて考えたことで、ターゲットがとてもわかりやすくなったのが良かったです。ターゲット像をしっかりと言語化・視覚化していただいたので、これまでモヤっとしていた部分の霧が晴れるようにすっきりした感覚になりましたし、ブランドのパーソナリティもイメージがつきやすくなりました。

※バイウィルの価値観セグメンテーション「Flower」に関する詳細はこちら
https://www.bywill.co.jp/services/brand/research

金丸様:正解というか道筋が明確になった感じですかね。サービスに対して、皆「親しみ」や「優しい」といった共通のイメージを持ってはいたものの、それが具体的にどういうことなのかを掘り下げると、中身が人によって違っていました。コンセプトを「コアバリュー」「パーソナリティ」「ベネフィット」「エビデンス」という構造で整理し、しっかりと言語化・視覚化したことによって共通認識を持てるようになりました。 

─────続いて「アキサポ」のロゴマーク制作についてお伺いします。

布川様:ブランドコンセプトがしっかり定まったことによって、「アキサポ」の魅力を誰にどう伝えていくべきか、目指すものがはっきりとしました。そのため、個人の趣味嗜好に惑わされず、判断基準をしっかりと持ってロゴを策定~選定することができたと思います。

金丸様:最初は不動産会社っぽさを出したくないという思いから、家の形ではないデザインにすることにこだわっていたのですが、バイウィルさんから「現状の認知度を踏まえると、アキサポという名前だけではサービス内容が分からない可能性があるため、商材の形を残す方が良い」と客観的なアドバイスをいただけたのはありがたかったです。また、弊社からも横長の形やアシンメトリーなデザインを手書きで作成して提案をしていたのですが、バイウィルさんはあくまで専門的な立場からロゴの使い勝手や視認性、汎用性に優れたデザインを推奨していただきました。

こちらの要望に答えるだけでなく、私たちにとって最も良い選択は何かを提案し続けてくれたおかげで、最後はすごくしっくりくるロゴにすることができましたし、納得感の高いものになりました。

 

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リニューアルした「アキサポ」ロゴ

デザインのポイント

  • 「アキサポ」の提供価値を家型のシルエットと「!」で表現
  • 中心の「!」は、アイデアや閃きを提供するクリエイティビティの象徴、空き家が生まれ変わった時の感動を表現
  • 「アキサポ」の「A」、空き家問題への「Answer」の「A」を表現
  • イメージカラーのオレンジは、空き家に新たな命を吹き込む「アキサポ」を象徴

参照:株式会社ジェクトワン様プレスリリース「空き家活用サービス『アキサポ』のロゴをリニューアル」
https://www.akisapo.jp/news/release/9264/

─────新しいロゴに対して、周囲からの反応はいかがでしたか?

布川様以前のロゴに愛着を持っていた社員も多くいたのですが、テレビCMや様々なグッズを通して新ロゴを広く訴求する中で、視認性が高いことの重要性も浮き彫りとなり、変更して良かったという声が広がりました。3月に変わったばかりではありますが、今ではすっかり馴染み、周囲からも心地よく受け入れられていると思います。

アキサポロゴ展開新しいロゴはパンフレットや、ノベルティなど様々な場所で使用されている

日本中に知れ渡っている「アキサポ」を目指して。ブランドの定量・定性目標とそこに至る道筋を描くブランドロードマップ策定

─────次のご支援としては、貴社サービス「アキサポ」のコンセプトを実現していくための道筋をつくる、ブランドロードマップの策定をさせていただきました。「アキサポ」のあるべき姿・目標を「定量」「定性」の両面から段階的に規定し、目標に向けた活動がブレないようにする効果もあるブランドロードマップですが、策定の過程で感じたことはありますか?

金丸様:ロードマップの策定では、それまでメンバー同士の意見が摺り合っていなかったことが浮き彫りになり、議論が深まったのが印象的でした。「アキサポで日本一になりたい」と良く代表が話していて、我々の目標でもあるのですが、いったいどういう状態になれば日本一といえるのか。受注件数、売上、知名度など様々な観点があるのにも関わらず、しっかりと定義をせずに曖昧だったのがこれまでの状態でした。その状態に対して、今回のブランドロードマップ策定を通じて「認知度=みんなに知れ渡ること」を目指すべきだという結論に至り、認識の摺り合わせもできたと思います。

布川様:また、世の中のブランドの常識のようなことを教えていただけたのもすごくありがたかったですね。認知度で一番になるといっても、何%に到達すれば皆に知れ渡っている状態と言えるのか。その数字感覚について我々は全く知識がなく、とてつもなく高い目標数値を掲げていました。それに対して、然るべき目標値とそこに至るステップを定め、ブランドやPRに関するノウハウを丁寧に教えていただけたお陰で、数字を正しく捉えられるようになりました。ブランドロードマップに基づいて、目標とそれを実現するための施策についてメンバー内で共通認識を持てるようになったので、各施策への迷いも生まれなくなりました。

─────具体的な施策において、ブランドロードマップを活用できた場面はありますか?

金丸様:そうですね。今回初めて「アキサポ」のTVCMを制作したのですが、まさにその場面で非常に役立ちました。当社は、顧客獲得というマーケティング施策、認知拡大というPR・ブランディング施策、それぞれの役割が明確に社内浸透できていないという課題がありました。ブランドロードマップで今回のCMの目標や指標を定めていなかったら、CMによってお問い合わせを〇件いただくといった獲得の方のみがフォーカスされてしまい、その数によって善し悪しが判断されてしまう恐れがありました。今回はあくまで「認知」を広げることが目的であり、その数値を追うという共通の認識を握れた状態でCM制作ができて非常に良かったです。

【アキサポTVCM】空き家会議(どうもしない篇)
※4/28(金)~5/21(日)の期間、関東広域圏にて放映

─────放送されたTVCMに対する反響はいかがですか?

金丸様:ありがたい悲鳴なのですが、通常時よりもかなり多くのお問い合わせをいただき大変嬉しく思っております。やっぱり一番初めに「空き家問題」と出てくるのが目を惹いたのか、空き家活用のCM自体を初めて見たという反応も多くいただきました。狙い通り我々が空き家活用サービスを実施していることが伝わって良かったと感じています。

会社のアイデンティティ醸成に寄与するキービジュアル、誰が関わっても一貫したブランディング運用を可能にするブランドガイドラインの制作

─────コーポレートブランディングの方ではコンセプト策定の他に、キービジュアル制作をさせていただきました。デザイン選定のポイントや、活用シーンについて教えてください。

布川様:もともと当社にはキービジュアル自体がなかったのですが、Webサイトなど色々なシーンで汎用的に当社のイメージを訴求できるものが欲しいと考えていました。デザインに関しては、伝統的な印象を与えるものやフォーマルなものといった、いわゆる不動産会社っぽく見えないものが良かったので、思い切って斬新なデザインを選択しました。

金丸様WebサイトやPCの壁紙、Googleスライドのテンプレートなど、日常的に社員が目にする場面でも多く登場させるようにしています。今後も、積極的に活用し、当社のアイデンティティ醸成に繋げていきたいと考えています。

 

キービジュアル

キービジュアルとデザインコンセプト

─────最後に、ご支援してきたことのまとめとして、「コーポレートブランド」と「アキサポ」それぞれのブランドガイドラインを制作致しました。こちらには、コンセプトの定義やロゴの使い方などのマニュアル的な要素だけではなく、ブランドに携わる人にはぜひ知っていただきたい「ブランドとは?」や「ブランディングを推進するためのポイント」についても記載しておりますが、実際に使ってみていかがでしょうか?

金丸様:こちらのガイドラインは積極的に活用しています。当社は各部署にクリエイティブ制作を任せていて、発注は各部署、管理者が我々というスタイルをとっております。今回ガイドラインに従った運用が可能になったことで、知識や経験がないメンバーであっても、ガイドラインに従うことでクリエイティブの善し悪しの判断ができるようになり、ブランドに統一感を持たせられるようになりました。今後もガイドラインの運用をさらに強化し、全社員が当社のブランディングについて理解・実践できている状態を目指したいです。

 

ブランドガイドラインアキサポブランドガイドライン(一部抜粋)
コーポレートバージョン(全26ページ)とアキサポバージョン(全23ページ)それぞれ作成

─────ご支援全体を通して弊社のサポートで良かったところはどんなところでしょうか?

金丸様:やはり全体を通して、我々の立場にたって、寄り添ったご支援をしてくださったことかなと強く思います。例えば、続きものの会議になると、前回はどんな話をしたのか思い出すのに時間がかかることもあると思うのですが、資料には必ず、前回の振り返りを入れていただいているので、会議冒頭から効率良く話し合いがスタートできていました。我々の想いや考えを適切に言語化したり、ディスカッションの内容を軌道修正していただいたりと、我々が考えやすいように、きめ細かく丁寧にリードいただけたのはありがたかったです。

布川様:一時期は毎日担当者さんと電話をしてるのではないかっていうほど、些細なことも含めてよくご相談をしていました。きっとバイウィルさんの社内でも色々と連携していただいていたのだと思いますが、どんなことでもすぐに対応いただけて、とても頼りにしていました。

─────ありがとうございます。最後に、今後の展望を教えてください。

金丸様:これからより一層、空き家活用サービス「アキサポ」の訴求に努めてまいりたいと考えています。ようやくブランドの基盤が整い、ここからがスタートだと思っています。「アキサポ」が全国に知れ渡っている状態にしたいという想いは強いので、今後5年10年とかかるかもしれませんが、まずは首都圏から全国への展開を目指して、成長を遂げていきたいと思います。

─────ありがとうございました。

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)