非化石証書はどうやって買うの?値段はどのくらい?
非化石証書は「再エネ価値取引市場」で直接購入するか、小売電気事業者や仲介業者を通じて購入することができます。背景として、2018年度にこの非化石証書売買の制度は設立されましたが、当時の日本では小売電気事業者や発電事業者のみがJEPX(日本卸電力取引所)での購入を許されていました。そのため、一般企業が非化石証書を購入したい場合には、小売事業者と電力供給契約を結び、非化石証書の対応をしてもらう必要がありました。
しかし、2021年度から非化石価値取引制度が見直され、仲介事業者や需要家も購入できるようになりました。同時に価格も見直され、最低入札価格が1.3円/kWh(税抜)だったところが、0.3円/kWh(税抜)と値下がりしました。非化石証書はそもそもJクレジットや他のグリーン電力証書に比べ価格が安いということに加え、この値下がりのおかげでより企業が入手しやすい証書となりました。
また、非化石証書の売却益はクリーンエネルギーへの投資や運用に使われます。つまり、非化石証書が売れれば売れるほどその分再生エネルギーへの資金投入が進み、最終的には再エネ賦課金に対する国民負担の軽減が期待されています。再エネ賦課金とは、日本の電力事業者による再生エネルギー導入の資金確保のため、国民や企業に課される電気料金に含まれている追加料金のことです。非化石証書を購入することで、自動的に再生エネルギー事業への投資につながるというのも購入の利点として挙げられます。
非化石証書購入後はどうやって使うの?購入メリットとは?
非化石証書を購入することで、企業はその購入分をクリーンエネルギーとしてみなすことができます。わかりやすい例でいうと、全ての電気を化石電源で賄っている電力会社でも、総供給量の20%にあたる非化石証書を購入することで、供給電力の20%は再エネ由来だとみなすことができます。これは環境にやさしいだけでなく、ブランドイメージを向上させることにも繋がるでしょう。また、非化石証書を購入している電力会社は、非化石証書による環境価値を組み込んだ料金プランを別途提供しています。このプランを使用することで、企業や家庭で使われている電力も実質的に再エネ由来となり、二酸化炭素排出量削減に貢献することができます。
企業にとってのより具体的な非化石証書の使い方としては2種類挙げられます。
① CDPの報告書として使う
CDPとは、企業が自社の環境影響に関する情報を公表し、温室効果ガス排出量の削減に取り組むことを奨励する非営利団体です。2018年からは、CDPへの報告書に、各企業が非化石証書に記載された電力量を再エネ使用量として記載できることが公認されました。これにより、非化石証書を購入することで、環境問題に積極的に取り組んでいる企業としてアピールすることが可能になりました。
参考:CDPジャパン(https://japan.cdp.net/)
② RE100に使う
RE100とは企業が100%再生可能エネルギーを導入することを目指すグローバルなイニシアティブですが、団体として、企業が再エネに移行するための必要な支援を提供し、その際、直面する障害を克服するための戦略的アドバイスを提供してくれます。しかし、RE100においては「条件付き」で非化石証書の利用が認められています。その条件とは、発電所の所在地や設備の環境負荷などの情報が明らかになっていることです。そのためには、トラッキング付き非化石証書を購入する必要がありますが、トラッキング付きであればRE100における再エネ化の取り組みとして認めてもらうことができます。
参考:環境証書RE100(https://www.env.go.jp/earth/re100.html)
まとめ
自助努力だけでは二酸化炭素排出量をこれ以上削減できないという企業や個人の方々にとっては、非化石証書の購入がその問題を解決してくれる効果的な手段です。非化石証書を購入することは環境に配慮した行動であるだけでなく、環境問題に向き合う企業・個人としてブランド力を向上させることに繋がるかもしれません。興味のある方はぜひご購入を検討してみてはいかがでしょうか。