今回のコラムでは、弊社で1月17日に開催した特別セミナー「ソニーの取り組みから学ぶインターナルコミュニケーションの秘訣」の内容についてお伝えいたします。
本セミナーでは、ソニー株式会社広報・CSR部コーポレート広報グループでインナーコミュニケーション施策に尽力されている亀井啓一さんを特別ゲストとしてお招きし、企業の一体感醸成のためのコミュニケーション活性化について語っていただきました。
セミナー当日には、約100人の方にお集まりいただきました。
ありがとうございました!
本セミナー第一部では、昨今高まるインナーコミュニケーションの重要性について、弊社代表の加藤が解説しました。
現在、企業を取り巻く環境は大きく変化していますが、多くの企業では事業戦略や経営方針の転換とともに”組織文化”を変革することが求められています。
しかし、会社が伝えたいことと社員が知りたいことには”ズレ”が生じるため、どんなに「伝える」ことに力を入れても、社員に「伝わっている」状態には程遠いものです。
そこで加藤は、組織変革を進める第一歩として「社員の現状の認識」を把握することの重要性を指摘しました。
第二部では、ソニー株式会社より広報・CSR部コーポレート広報グループの亀井啓一さんに登壇していただき、ソニーグループが実際取り組んでいるコミュニケーション活性化をもとに、インナーコミュニケーションについてお話いただきました。
まずは亀井さんは、従来のトップダウンのコミュニケーションから、より一層幅広いコミュニケーションが必要であると解説頂きました。
従来の社内コミュニケーションでは、トップからミドル、そしてミドルからボトムへと各階層間で順を追って伝えられることが多かったが、現在は「トップと一般社員とのダイレクトコミュニケーション」や「各階層における横のコミュニケーション」、さらには「外部とのコミュニケーション」の重要性が高く、従来のコミュニケーションスタイルに囚われないことが大切で、そのようなコミュニケーションを活性化させる役割を担うのが広報部であると亀井さんは力説してくれました。
次に亀井さんは、近年個々の事業を強化する分社化が進展する中で、ソニーグループが企業理念「One Sony」をどのように体現しているのかについてご紹介頂きました。
ソニーグループが掲げる企業理念「One Sony」を実現するには、グループへの求心力の維持が大きな課題になりますが、そのためにソニーの広報では、単なる「社内広報」を超えて、「コミュニケーションによる価値の創造」を目指しているそうです。
具体的には、単なるトップメッセージの伝達だけではなく、それに呼応する形でボトムアップ記事を企画しているとのこと。ボトムアップ記事とは、現場での成功事例やロールモデルとなるような取り組みを紹介する記事のことで、これをトップメッセージの発信に続けることが、会社の方針に対する社員の納得度合いや行動イメージを高めることにつながります。その結果、社員一人一人が会社の目指す方向性を理解し、”自分ゴト化”していくことができるようになります。さらに亀井さんは、社員の関心を高めるために、「旬な話題を取り上げること」や「社員を褒めること」も重要であると話してくれました。
最後に亀井さんは、社内でのコミュニケーションを活性化させるためにソニーグループで活用している様々なコミュニケーションツールを紹介してくれました。
例えば、イントラサイトでは、前述のような”ボトムアップ記事”の効果的な活用により社員の会社方針への関心を高めており、グループのイントラサイトは月に250万PVがあるそうです。その他にも、グループコミュニケーション誌と呼ばれる紙媒体や、プッシュ型の通知(イントラの更新案内やアンケート配信等)、その他社員の目に触れるようなPOP・サイネージ等、様々な媒体を活用し、社内コミュニケーションを活性化する工夫に取り組んでいるとのことでした。
セミナーの最後では、質疑応答の時間を設け、自社の悩みを元に「どのようにしたらトップの発信を効果的に出せるのか」「グループ会社の社員を巻き込む方法はあるのか」などの質問が上がりました。亀井さんは、これらの質問に対し、広報を通じて社員にビジョン・方針を認知~理解させるだけでなく、行動を促すことこそ重要であると話し、ソニーグループでの実例を紹介してくれました。
一方、当然ながらソニーでの取り組みがあらゆる企業で機能するわけではありません。弊社では、社員の行動に繋がる認識変容を促すためには、戦略に対する「やりたい」「やらなきゃ」「やれそう」という3つの気持ちを高めることが必要であると考えています。まずは自社の社員の現状を把握した上で、適切なターゲット・メッセージを設定し、自社の広報施策を企画することが大切です!
以上セミナー内容について書かせていただきました。
最後まで読んでいただきありがとうございます。
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