概要

海上土木に強みを持つ総合建設会社の東亜建設工業株式会社様。今回、法人としての設立100周年を機に社内向けに行動指針を策定し、社外向けにコーポレートメッセージを策定した。また策定後は、行動指針の浸透活動としてオンライン共有ミーティングを実施し、コーポレートメッセージをHPやムービーの形式で社外に向けて発信した。後編では、全社初の試みであった行動指針の共有ミーティングやコーポレートメッセージの社外発信について取り上げる。

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行動指針・バリュー策定

 

(前編)長期ビジョン実現に向けた行動指針策定&浸透プロジェクト①「新行動指針」の策定

約1,600名もの社員に向けた、オンラインでの「新行動指針」共有ミーティングへの挑戦

─────策定した新行動指針を社内に浸透する共有ミーティングですが、オンラインによる全社規模のイベントは初めてのことだったと伺っています。約1,600名もの社員を巻き込んだ全12回の共有ミーティングという非常にチャレンジングな試みだったと思いますが、そこに苦労や葛藤はありましたか。

北川様:今回、初めての全社規模のオンラインイベントとして「新行動指針」共有ミーティングを開催することができましたが、経営層が思い切った判断で実施を認めてくれたのが大きかったです。プロジェクトが開始した当初、この共有ミーティングは数百人を5拠点くらいに集めたリアルでの開催を予定していましたが、コロナの状況を鑑みるとリアルでの開催は現実的に難しくなりました。そうなるとオンラインという手段を検討しようとなるのですが、正直なところ最初は上手くできるイメージが全く持てず半信半疑なところもありました。ただ、フォワード(現:バイウィル)さんのオンラインセミナーでブレイクアウトルームを使ったグループワークを上手にやっているのを見て「こんなやり方もあるのか」という気づきを得られました。また、オンラインで実施することを経営層に提案したときにある役員から「世の中の変化に遅れないためにもやった方がいい」と後押し頂いたことからも、前向きに取り組みを進めることができました。これは実施してみての結果論でもありますが、当社は全国・海外に数多くの建設現場が点在しており、本来こういったWeb会議の活用とは相性が良いのかもしれません。

山崎様:そもそもWeb会議を行う環境も十分に整っていなかったため、デバイスを揃えるところから始めました。イヤホンやマイク、Webカメラがない社員も多く、モバイル端末も持っている人と持っていない人が混在している状況でした。そのため、そもそもZoomの会議を出来る状態にあるのかを全社員にアンケートを取るところから始めましたね。また、Zoomを実際に使いこなせるようにすることも課題でした。共有ミーティング当日のサポート体制を作るため、各支店の総務担当に依頼して、Zoom未経験者に対する事前のアクセス確認会を行いました。本当に知識がない人だと、カメラとマイクをつけずにZoom会議に入ってきて「私は何をしたらいいんですか?」と言う状況だったのですが、事前にZoom会議への参加方法をインプットしたお陰で共有ミーティング当日の支店総務の方の負担も軽減されたと聞いています。また、フォワード(現:バイウィル)さんはオンラインでの研修やワークショップの経験が豊富だということで、Zoomの操作方法を分かりやすく資料にまとめてくださったり、オペレーション面での手厚いサポートを頂いたことも大変助かりました。

─────今回のオンライン共有ミーティングのコンテンツなどを設計する上で重要視したことはありましたか?

北川様:まず、共有ミーティングの所要時間ですが最長で1時間半だと考えていました。フォワード(現:バイウィル)さんからは丁寧にやるなら23時間は必要と言われていましたが、現場で忙しい社員が大多数なので、飽きさせずかつ中身が詰まったものをやるために1時間半ということで依頼しました。ワークショップの内容をシンプルにして時間を短縮したのですが、レクチャーやグループワークをベストな時間配分で詰め込むことができ、トータルのパッケージとして良いものになったと考えています。

オンライン共有ミーティングの概要オンライン共有ミーティングの概要。メインのコンテンツは「新行動指針」の共有。
その前後に2つグループワークも行い、参加者間でコミュニケーションを取る機会も大事にした

─────今回の共有ミーティングに対する社員の方々の反応はいかがでしたか。

北川様:参加者アンケートからは、全体的に良い印象を持っている様子が見受けられました。もちろん、グループワークの時間が足りなかったなど様々な改善意見はありましたが、全体として内容・時間配分は適切だっただろうと思っています。「こういった共有の機会を今後も設けた方が良い」と答えている社員も多数おり、来年度以降も取り組みを継続できればと考えています。

集合写真

社外に向けて意志を発信する目的で創られたコーポレートメッセージ

───ここからは、社外に発信した内容について伺います。まず取り組みの全体像を教えてください。

北川様:長期ビジョンを実現していくという意志を社外に発信するために、「私たちの今が、社会の未来を創る」というコーポレートメッセージを策定しました。そしてそれを伝えていくための具体的な手段として、各ステークホルダーに伝えるための特設サイトを作成しました。そのサイト内では、メッセージにストーリー性を持たせて伝えていくためのPRムービーも閲覧できるようになっています。また、日経新聞への広告出稿も行いました。

社外向けムービー

─────PRムービーの制作や広告出稿はどういった狙いで進められたのでしょうか

北川様:実際の制作の流れとしては、共有ミーティングに使う社内向けの動画が先にスタートして、あとから社外向けのPRムービーを作りました。社外向けの動画に関しては、社内向けと比べると内容を絞り、コーポレートメッセージの発信というところに焦点を当ててはいますが、それでも社員が見て奮い立つ内容になったと思います。また、社外向けムービーのポイントは、創業者にスポットライトを当てたことです。当社は、京浜工業地帯の埋立事業を行った浅野総一郎とその事業を支援した渋沢栄一と安田善次郎の3人が創業者ですが、ちょうど渋沢栄一の大河ドラマの放送開始が今回のムービーの公開時期とタイミングが重なったので、これを活かさないわけにはいかないと思っていました。

今回のメインコンテンツであるコーポレートメッセージは、今いる社員たちが感じている自社らしさを踏まえつつ、未来に向けて足りない部分を補う考え方で作ったものではありますが、そもそも浅野総一郎や渋沢栄一らも「未来を創る」というマインドを持っているという意味では今の我々と同じだということを踏まえ、創業の精神とリンクさせた動画に仕上がりました。広報の立場としては、創業者と今回のコーポレートメッセージを結び付けられた良い動画ができたと思っています。動画制作に関しては、フォワード(現:バイウィル)さんに多大なご協力を頂きました。第三者の目で、かつ当社に寄り添った冷静な意見を多数出して下さり、大変助かりました。

 

また、2021210日のコーポレートメッセージ公開日に掲載したのが日本経済新聞の渋沢栄一企画特集への広告でした。記事中では、浅野総一郎も渋沢栄一の事業パートナーとして紹介され、タイミングよく新しいコーポレートメッセージの広告を世に広めることができたと思います。

フォワード(現:バイウィル):創業者の精神を引き継ぎ、100年という節目で未来に向けたコーポレートメッセージを外に打ち出していく、その手段が広告でPRムービーでもあるということだと思います。新聞に掲載されると社員の家族や採用候補者など色々な方に見られることが多いと思うので、社員が改めて会社に誇りを持つきっかけになると思いますが、そういった声はありますか。

山崎様:各支店の総務担当がリクルート活動の一環で地方の大学に行って学生さんと話すのですが、今回の企画広告を学生にアピールしとくよと言ってくれたり、また人事も中途採用の面接の中で、渋沢栄一が関わっている会社なんですよと言ってくれたりしているようです。採用活動でも役立ててもらえていることが分かり、コーポレートブランディングを担う広報担当者として嬉しい限りです。ただ、新行動指針の社内浸透も、社外に向けたコーポレートブランディングも、当社としての取組みは始まったばかりですので、今後も継続的な活動として取り組んでいきたいと考えています。

─────本日はありがとうございました

 

(掲載されている所属、役職およびインタビュー内容などは取材当時のものです)

 

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