こんにちは。
コンサルタントの石原でございます。
今回のコラムはブランディングの根幹となる、「ブランドコンセプト」についてお話させて頂きます。
「ブランドコンセプトは作ったものの、あまり効果が出ていない気がする」最近、企業様からこのようなお悩みを相談される事が多々ございます。
機能するブランドコンセプトを策定するためにはどうしたらよいのか?
私がご支援させて頂いた実例を元にお話させて頂きます。
※ブランドコンセプトの設計についてはこちらのコラムもご覧ください。
まず、ブランドコンセプトは「ブランドが消費者に提供する価値」を包括的に表す言葉でまとめられることが多く、抽象的でイメージベースのものになりがちです。
イメージベースのみのブランドコンセプトは、一見まとまりが良くクリエイティブにみえるため、社外から見るとわかりやすく、魅力的に感じます。しかし、それは抽象的なものであるため、ブランドの作り手である社内の方にとっては、「意味はわかるけれど、ブランドを高めるために結局私たちは何をすればいいの?」と日々の業務との接続をイメージしにくくしてしまうのです。
このような場合、聞こえの良いブランドコンセプトがHPや販促物に展開されるものの、ブランドを体現する行動は行われないため、成果が上がらず、ブランドコンセプトが機能しているとは言えません。
では、機能的なブランドコンセプトを策定するには何をすべきでしょうか?
私が推奨させて頂いているのは主に以下の2点になります。
①社員全員を巻き込んだブランドコンセプトづくり
②作成されたコンセプトを機能させるための定期的なケア
①社員全員を巻き込んだブランドコンセプトづくり
一般的に、経営陣や広告宣伝部など、(一見)ブランドとの関与が高い方のみでブランドコンセプトを策定した場合、他の部署の方々はそのブランドコンセプトを深く理解することがないため、ブランドコンセプトと日々の業務との関わりを見出すことができません。この状況下ではブランドを構築することは難しいものとなります。
この状況を回避するためには、ブランドコンセプトの策定時に、営業やバックオフィス系部署の方を積極的に巻き込む事によって各部署の意見を反映させたブランドコンセプトを構築することが必要となります。
例えば、コンセプト策定にあたっては部署横断のプロジェクトチームを作る、もしくは各部署からブランドに関する意見を収集し、それを基に経営陣でコンセプト策定を行うなどの方法が考えられます。
大切なのは、作られたコンセプトが“現場から見えない密室で作られ、ある日突然降りてくるもの”にならないようにすることです。
こうすることで初めて、社内全員が当事者意識をもってブランドコンセプトを体現する行動を起こすことができます。
②作成されたコンセプトを機能させるための定期的なケア
せっかく社員の意見を取り入れたブランドコンセプトを作成しても、それが一過性のものに留まり、持続的に機能しなければ意味がありません。そこで、定期的なケアをする必要があります。
定期的なケアとは以下のようなものが挙げられます。
・ブランドに関する定期的な情報発信(社内報やイントラなど)
・人事評価や表彰制度への組み込み(ブランドを体現した社員の表彰など)
・社内でブランディング活動を牽引していく人材の育成(研修制度など)
コンセプトそのものの巧拙も大切ですが、「作りっぱなし」にならないための仕組みづくりはもっと大切です。コンセプトを創った上で、上記のような「コンセプトを機能させるための仕組み」がどれだけ社内で整備されているか、一度考えてみても良いかもしれません。
弊社では「BranDoctor」という社内調査のサービスを提供しております。その内容は、自社ブランドのコンセプトから、それを機能させる上記の仕組みまで、社員・従業員の方に自社ブランドの状況を幅広く調査し、ブランド浸透における強みや弱みを明確に映し出すものです。
消費者や顧客から自社がどう見られているのかを知るためにリサーチを取られている企業様は多くいらっしゃいますが、社員に対してブランドに関するリサーチを行っている企業は多くないのではないでしょうか?
もちろん、最終的にお客様からの認識をより良いものにすることが重要なのですが、実際にブランドを日々作り上げているのは社員・従業員の方一人ひとりの行動です。社員の方のブランドに対する共感・理解なしに長期的に愛されるブランドが築かれることはありません。
ですから、”社員自身が、ブランドコンセプトと日々の業務との接続を行う上でのボトルネックをどこに感じているのか”を把握した上で、そこに適切な打ち手を講じることが有効なのです。
ブランドコンセプトを機能させるためのヒント、ご理解いただけたでしょうか。
是非、ご参考にしていただければと存じます。
ここまでご拝読頂きありがとうございました!それでは、またお会いいたしましょう。