この記事は、2020年5月8日(金)に開催したウェビナー『アフターコロナの変革ビジョンを描き、中期経営計画に落とし込む』で頂いた質問に対する回答をまとめたものです。
有難いことに、ウェビナー中たくさんのご質問をいただき、講師の伊佐からその場でお答えしました。参加者の方から「質疑応答も中身の濃いやり取りが多く、メモを共有して欲しい」という問い合わせも頂きましたので、Q&Aの内容を一部抜粋して公開することに致しました。
参加されていない方にはわかりにくい箇所もあるかと思いますが、詳細をご希望の方は下記リンクよりお気軽にお問い合わせください。
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中期ビジョンを描き、中計に落とし込むための6つのステップは以下
それでは、Q&Aにまいります。
逆U字モデルの説明をもう1度していただけますか?
ファクトを整理した後、一度抽象度を上げてビジョンとして言語化し、その後言語化したビジョンから領域・ビジネスモデルや定量目標を肉付けしながら具体化して、それを中計や事業計画に落とすということです。
つまり、現状分析をして次に事業計画に落とします、という左から右の流れだけではなくて、抽象度をぐっと上げるのがポイントになります。
そうすることで事業アイディアに幅が出て、既存の延長から抜け出すきっかけになるという考え方です。
STEP1の未来予測について、毎年個人・企業・社会に影響を及ぼす変化が発生しているように思われますが、未来予測を再考するタイミングについてアドバイスはありますでしょうか。
企業規模及び業界や商材の特性、人的リソースも含めた投資の大きさとリンクすると思います。
仮に単一事業で、トレンドの影響が強く商品のライフサイクルも1年単位で変わるような事業を想定すると、1年ごとにやり直すという考え方もあるかもしれません。
一方、企業の規模が大きいとか商品のライフサイクルも3年とか5年とか投資回収もそのぐらいのスパンで考える業界だと、MAX3年スパンくらいかなと思います。大きな会社が全社をあげた戦略をクォーターに1回というスピードでコロコロ変えていくと社員も疲弊していくと思いますし、投資も追いつかないと思います。
STEP1にあたる未来予測のワークショップは、複数の階層や部署にまたがって議論するのがいいということでしたが、何名程度で実施するのが効果的でしょうか?
巻き込む事業部や事業の数、部署の数で変わります。慣例でいうと、MAX6名のグループで最大5グループ程度で作ることが多いです。また、基本的には階層が異なればワークショップの場は分けます。
参加者を増やしすぎると収拾がつかなくなったり、場が盛り上がらず冷え込むことになるので、ある程度主要な部署、巻き込む階層を設定した上で30名程度が妥当だと思います。
STEP1からSTEP6までをどれぐらいの期間(時間)で行いますか?
巻き込む対象者の幅と、事業の個数や事業同士がどれくらい異なるかによって変わりますが、最短で3か月程でできます。
ただし、STEP1の未来予測やSTEP3の事業アイディアの発散は、過去のパラダイムから抜け出した視点・アイディアを取り入れるべきです。その意味だと半年かけて色々な階層、部署の方を混ぜてワークショップを行うのがお勧めです。
コロナのタイミングで早く次のビジョンを出したいということであれば、ある程度巻き込む人の範囲を絞って作るべきだと思います。
組織人事変革や人財育成等への活用についてヒントやアドバイスをいただけますでしょうか?
長期のビジョンや戦略と組織人事は完全にリンクさせるべきだと思っており、「事業ビジョンを実現するためには、自社はこういう組織であるべきだ」という組織面でのビジョンを作ることをお勧めしています。組織ビジョンが存在していない会社さんも多いのではないでしょうか。
組織ビジョンを明確に設定すると、人事ポリシーにも落とし込みやすいです。人事ポリシーも、存在はするが運用がされていないという会社さんはすごく多いです。人事ポリシーは採用・育成、制度など組織変革の幹の部分になります。
なので、事業ビジョンから組織ビジョンと人事ポリシーを立てられると、実は組織人事変革の近道になりえるということになります。
リーマンショックのような経済恐慌や、震災、パンデミックなど、100年に1度の大災害的なものが、2,3年に1度くらいの頻度で起こっている気がします。2020年代も同様の想像できますが、そのような事象に対して、留意すべき経営マインドや視点にはどのようなものがありますか?
企業経営者という視点でいくと、大きな事業ビジョンを明確に描くこと。そして権限移譲をして後進を育て、ある程度任せられる状態を作っていくということに尽きるのではないかと思います。
常に経営者が決めるという会社は、変化への対応が結果的には弱くなるのではないかと思います。変化に対して機敏であること、組織にひずみが起きたとしてもビジョンを掲げ続けること、がトップに求められることではないでしょうか。
また同時に留意すべきことは、社員1人1人が自律的に動くべしという組織文化を意識的に醸成することでしょう。
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